2008年 12月 03日
【海外ドラマ】スーパーナチュラル/シーズン3#1
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※ストーリーには触れてませんが、若干ネタバレの可能性があります。ご注意ください。
【第1話 七つの大罪 The Magnificent Seven】
The war has just begun! で終わったシーズン2を引き継いでのシーズン3開幕……であるだけに、オープニングの雰囲気には戸惑いました。
地獄の扉が開き、数百とも数万とも知れぬデーモンが地上に解き放たれたというのに、ようやく現れたデーモンは、たったの7人。七つの大罪をそれぞれ体現したデーモンたちが仕掛けた悪さは、小さな町で、人間の中にもともと潜んでいた醜さを引き出すことだけ……。
あれれ? 戦争はどうなったの?
まあ、しかし、コトがそれだけなら、これって嵐の前の静けさってやつよね。この戦いは前哨戦なんだわ、と納得すればいいのですが、戸惑いの原因は、ほかならぬサムとディーンにありました。
うまいこと垂らしこんだ女の子とよろしくやってるディーンにモーテルの部屋を占領され、外の路上で待つはめになってるサム。事後、全く悪びれた様子もなく口先だけで謝るディーンに対し、サムったら「いいんだよ、ディーンにはちょっと楽しむ権利ぐらいあるさ。(You deserve to have a little fun.)」と殊勝な態度。……おかしい。なにかが違う(汗)。
しかも、狩りが始まったというのに、相変わらずかわいい女の子にデレデレしてるディーンを見かねて、思わず皮肉をぶつけるサムに対し、あろうことか「おれには残された時間があまりないんだ」とのたもうディーン。あ、有り得ない。クロスロード・デーモンとの契約のことをジョークのネタにするなんて! サム、さすがにこれは切れるとこだよね? と思ったところが、サムはこれぐらいじゃ切れません。素直に「ごめん」と謝ってしまう。「オーライ、謝罪は受け入れよう!」となぜか軽すぎるノリのディーン。……な、なにごと? 一体なにが進行しているの!?
思い出されるのがシーズン2の最初の方の、どうしようもなく鬱屈した雰囲気です。父親が自分の身代わりになり、悪魔に魂を売りわたして地獄に堕ちたと知ったディーンの、苦悩の深さ、絶望の激しさ。そしてなすすべもなく見守るサム。
事態はあのときと同じはずなのに、どうしてこんなに雰囲気がちがうの?
そしてさらにもうひとつ。絶体絶命の危機に陥ったと思える局面でのディーンの台詞。「おまえたちは先に逃げろ! ここはおれが食い止めるから!」。ディーンがこうした台詞を口にするのはむしろありがちといってもいいくらい。なにしろサムのためなら死に急ぐようなところすらあるディーンだから。だけど、この台詞、あまりにもあっさりと口にされすぎる。サムにとっては一番聞きたくないはずの台詞を、まるで自分の命なんかどうでもいいみたいに、ためらいも葛藤もなく軽々と口にされてはたまりません。
「どうかしてるよ、ディーン! そんなこと考えるな、いいね? (Just forget about it, okay?)」
ここんとこ、字幕の訳は「許さないよ」となっております。「許さないよ」! すげぇ。意を尽くして余りあるというか、サムのキャラを知り抜いていらっさるというか。翻訳家さん、グッジョブ(≧▽≦)!
なんだかチグハグなディーンの態度、踏み込めないサムのもどかしさ。この違和感が一気にひっくり返されるのがラストのふたりのやり取りです。これがもう、ね。ひっくり返されるなんてもんじゃないです。巴投げくらって地面に叩きつけられるみたいな衝撃。
ディーンをクロスロード・デーモンとの契約から解放しようと、さまざまな提案をするにもかかわらず、悉くはねつけられるサム。さすがにラストでサムも切れます。
「もういいよ! 兄貴なんか知らない! 兄貴を助けようと思って、こんなにぼくがシャカリキになってるのに、他人事みたいな顔してさ! 自殺願望でもあるのかよ!? (You got some kind of death wish?)」
ディーンにしてみれば、クロスロード・デーモンとの契約を破ることは、即座にサムの死を意味するのですから、譲れるわけがありません。「おまえなしじゃ、おれは生きていけないからだ」と答えるディーン。もちろん納得できようはずもないサムは、「だったら、兄貴が死んで生き続けるぼくの立場は!? ディーン、あんたは偽善者だ!」となじります。
「親父が死んだとき、どんな気持ちだった!? 親父があんたのために魂を売ったって知ったとき? ぼくはその場にいたんだよ? みんな覚えてる! 兄貴はめちゃめちゃだったじゃないか! なのにいま、ディーンはぼくに、それと同じことをしようとしてるんだよっ!? ディーンは身勝手だよっ!」
そうですとも。そうなんですよ。それこそが違和感の原因。
シーズン2のラストで、「おれがやったことを咎めないでくれ!」と悲鳴のようにサムに乞うたディーンの姿と、うまく繋がらない……。
「いままでおれが家族のために払ってきた犠牲を考えると、おれにはその資格があると思うがね」
と嘯くディーン。ディーンの口から「after everything I've done for this family」なんて言われてしまえば、一時期とは言え「普通の生活」に逃げ込んだことに負い目を感じているサムとしては、一瞬息を呑むしかありません。だからって、ディーンはサムを咎めてるわけじゃなかった、当然だけど。
「ほんとのこと言うとさ、おれ、マジで疲れちまったんだよ、サム。なんていうか、長いトンネルを抜けてさ、そのさきに光が見えたみたいな気持ちなんだ」
うっ(>_<)。
「おまえが生きててくれて、おれはとんでもなく気分がいいんだ。今までずっと生きてきて、こんな気持ちは初めてなんだよ」
うううううううっ(>_<)(>_<)(>_<)。えい、くそ、またディーンに泣かされた!
これはね、サムは辛くてたまりません。ただでさえ状況そのものが過酷なのに、兄にこんなことを言われてしまっては、耐えられない耐えられるはずがない(>_<)!
しかし、サムは、強かった。われわれの予測を遥かに超えて、強かった!
自分のために兄の余命があと一年という想像を絶する状況のもと、張り詰めすぎて緊張の糸が切れそうになってたシーズン2のディーンとちがい、見事に最後まで自分を律し通してくれるシーズン3のサム。シーズン1では、あんなに頼りなかったというのに、サム、きみはどこまで成長を続けるんだ! (身も心も(>_<)!)。
あとね、やっぱりね、ボビーいいよ、ボビー。
ボビーがいてくれると、兄弟がふたりっきりで孤立無援で闘ってる、という悲壮感が緩和されて、なんとなくほっとしてしまいます。どんなときでも冷静沈着で、経験豊富で、物知りで、情報収集能力にも優れてて、精神的にタフで肉体的に強い。ハンターとしても、父親としても、ボビーなら理想的。
兄弟の方でも、口ではナマイキ言いながら、ボビーを慕い、頼りにしてるのがいじらしい。ボビーさえいてくれれば、きっとなにもかもうまくいくから!
というわけで、ジョン・ウィンチェスターは、パパの地位はボビーに譲って、ハーレクイーン・ヒーローとして再起するといいよ、と思います。
【第1話 七つの大罪 The Magnificent Seven】
The war has just begun! で終わったシーズン2を引き継いでのシーズン3開幕……であるだけに、オープニングの雰囲気には戸惑いました。
地獄の扉が開き、数百とも数万とも知れぬデーモンが地上に解き放たれたというのに、ようやく現れたデーモンは、たったの7人。七つの大罪をそれぞれ体現したデーモンたちが仕掛けた悪さは、小さな町で、人間の中にもともと潜んでいた醜さを引き出すことだけ……。
あれれ? 戦争はどうなったの?
まあ、しかし、コトがそれだけなら、これって嵐の前の静けさってやつよね。この戦いは前哨戦なんだわ、と納得すればいいのですが、戸惑いの原因は、ほかならぬサムとディーンにありました。
うまいこと垂らしこんだ女の子とよろしくやってるディーンにモーテルの部屋を占領され、外の路上で待つはめになってるサム。事後、全く悪びれた様子もなく口先だけで謝るディーンに対し、サムったら「いいんだよ、ディーンにはちょっと楽しむ権利ぐらいあるさ。(You deserve to have a little fun.)」と殊勝な態度。……おかしい。なにかが違う(汗)。
しかも、狩りが始まったというのに、相変わらずかわいい女の子にデレデレしてるディーンを見かねて、思わず皮肉をぶつけるサムに対し、あろうことか「おれには残された時間があまりないんだ」とのたもうディーン。あ、有り得ない。クロスロード・デーモンとの契約のことをジョークのネタにするなんて! サム、さすがにこれは切れるとこだよね? と思ったところが、サムはこれぐらいじゃ切れません。素直に「ごめん」と謝ってしまう。「オーライ、謝罪は受け入れよう!」となぜか軽すぎるノリのディーン。……な、なにごと? 一体なにが進行しているの!?
思い出されるのがシーズン2の最初の方の、どうしようもなく鬱屈した雰囲気です。父親が自分の身代わりになり、悪魔に魂を売りわたして地獄に堕ちたと知ったディーンの、苦悩の深さ、絶望の激しさ。そしてなすすべもなく見守るサム。
事態はあのときと同じはずなのに、どうしてこんなに雰囲気がちがうの?
そしてさらにもうひとつ。絶体絶命の危機に陥ったと思える局面でのディーンの台詞。「おまえたちは先に逃げろ! ここはおれが食い止めるから!」。ディーンがこうした台詞を口にするのはむしろありがちといってもいいくらい。なにしろサムのためなら死に急ぐようなところすらあるディーンだから。だけど、この台詞、あまりにもあっさりと口にされすぎる。サムにとっては一番聞きたくないはずの台詞を、まるで自分の命なんかどうでもいいみたいに、ためらいも葛藤もなく軽々と口にされてはたまりません。
「どうかしてるよ、ディーン! そんなこと考えるな、いいね? (Just forget about it, okay?)」
ここんとこ、字幕の訳は「許さないよ」となっております。「許さないよ」! すげぇ。意を尽くして余りあるというか、サムのキャラを知り抜いていらっさるというか。翻訳家さん、グッジョブ(≧▽≦)!
なんだかチグハグなディーンの態度、踏み込めないサムのもどかしさ。この違和感が一気にひっくり返されるのがラストのふたりのやり取りです。これがもう、ね。ひっくり返されるなんてもんじゃないです。巴投げくらって地面に叩きつけられるみたいな衝撃。
ディーンをクロスロード・デーモンとの契約から解放しようと、さまざまな提案をするにもかかわらず、悉くはねつけられるサム。さすがにラストでサムも切れます。
「もういいよ! 兄貴なんか知らない! 兄貴を助けようと思って、こんなにぼくがシャカリキになってるのに、他人事みたいな顔してさ! 自殺願望でもあるのかよ!? (You got some kind of death wish?)」
ディーンにしてみれば、クロスロード・デーモンとの契約を破ることは、即座にサムの死を意味するのですから、譲れるわけがありません。「おまえなしじゃ、おれは生きていけないからだ」と答えるディーン。もちろん納得できようはずもないサムは、「だったら、兄貴が死んで生き続けるぼくの立場は!? ディーン、あんたは偽善者だ!」となじります。
「親父が死んだとき、どんな気持ちだった!? 親父があんたのために魂を売ったって知ったとき? ぼくはその場にいたんだよ? みんな覚えてる! 兄貴はめちゃめちゃだったじゃないか! なのにいま、ディーンはぼくに、それと同じことをしようとしてるんだよっ!? ディーンは身勝手だよっ!」
そうですとも。そうなんですよ。それこそが違和感の原因。
シーズン2のラストで、「おれがやったことを咎めないでくれ!」と悲鳴のようにサムに乞うたディーンの姿と、うまく繋がらない……。
「いままでおれが家族のために払ってきた犠牲を考えると、おれにはその資格があると思うがね」
と嘯くディーン。ディーンの口から「after everything I've done for this family」なんて言われてしまえば、一時期とは言え「普通の生活」に逃げ込んだことに負い目を感じているサムとしては、一瞬息を呑むしかありません。だからって、ディーンはサムを咎めてるわけじゃなかった、当然だけど。
「ほんとのこと言うとさ、おれ、マジで疲れちまったんだよ、サム。なんていうか、長いトンネルを抜けてさ、そのさきに光が見えたみたいな気持ちなんだ」
うっ(>_<)。
「おまえが生きててくれて、おれはとんでもなく気分がいいんだ。今までずっと生きてきて、こんな気持ちは初めてなんだよ」
うううううううっ(>_<)(>_<)(>_<)。えい、くそ、またディーンに泣かされた!
これはね、サムは辛くてたまりません。ただでさえ状況そのものが過酷なのに、兄にこんなことを言われてしまっては、耐えられない耐えられるはずがない(>_<)!
しかし、サムは、強かった。われわれの予測を遥かに超えて、強かった!
自分のために兄の余命があと一年という想像を絶する状況のもと、張り詰めすぎて緊張の糸が切れそうになってたシーズン2のディーンとちがい、見事に最後まで自分を律し通してくれるシーズン3のサム。シーズン1では、あんなに頼りなかったというのに、サム、きみはどこまで成長を続けるんだ! (身も心も(>_<)!)。
あとね、やっぱりね、ボビーいいよ、ボビー。
ボビーがいてくれると、兄弟がふたりっきりで孤立無援で闘ってる、という悲壮感が緩和されて、なんとなくほっとしてしまいます。どんなときでも冷静沈着で、経験豊富で、物知りで、情報収集能力にも優れてて、精神的にタフで肉体的に強い。ハンターとしても、父親としても、ボビーなら理想的。
兄弟の方でも、口ではナマイキ言いながら、ボビーを慕い、頼りにしてるのがいじらしい。ボビーさえいてくれれば、きっとなにもかもうまくいくから!
というわけで、ジョン・ウィンチェスターは、パパの地位はボビーに譲って、ハーレクイーン・ヒーローとして再起するといいよ、と思います。
by shirakian
| 2008-12-03 22:14
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