2013年 07月 26日
サイレントヒル:リベレーション
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★ネタバレ注意★
2006年のクリストフ・ガンズ監督版『サイレントヒル』の続編。
今作の監督はマイケル・J・バセット。
ガンズ版の映画は、原作ゲームの世界観を巧みに表現した「わかってらっしゃる!」感がハンパない映像で、ゲームファンのハートをがっちり鷲づかみした作品だったようですが(わたしはゲームを知らないので、そこんとこ判断できないのです)、今回監督変わっちゃってるし、正直、どうなんダロと思いながらもやっぱり観て来ました。だってショーン・ビーンが出てるんだもん。しかも、前作ではショーン・ビーン演じるヒロインの父親は、娘を助けるべく獅子奮迅の活躍をする母親を後目に、蚊帳の外におかれて終始オロオロしているだけで、出番すらロクになく、全くもって「ショーン・ビーンの無駄遣い」だったのに引き換え、今作では選手交代して娘を守って戦うのは父親だという噂。これはやっぱり観なくっちゃ☆
前作ラスト、自分の身代わりとなった母親ローズ(ラダ・ミッチェル)をサイレントヒルに残し、ひとりだけで帰還を果たした娘のシャロン(aka ヘザー、アデレイド・クレメンス)は、以後父クリストファー(aka ハリー、ショーン・ビーン)とふたり、それぞれ名前すら変え、各地を転々としながらひっそりと暮らしていた。逃亡生活を送るようになった直接の引き金は、父が家宅侵入した「強盗」を殺してしまったからだったが、事の真相について、父は決して語ることはなかった。とにかく、学校からはまっすぐ家に帰ること、「サイレントヒル」には決して行かないこと。ただそれだけをくどいほどに繰り返し言い聞かせる父。果たしてサイレントヒルとは何か? 過去の記憶を失ってしまっていたヘザーには全くの謎だった。そんなある日、ハリーが何者かによって誘拐されてしまう。父親を救出すべく、ヘザーはサイレントヒルを目指すのだが……。
……ん? あれ?
この話って、「父親が娘を守って戦う」話じゃなかったん? 娘が父親を助けに行く話? ちょ、話がちがうぢゃん。父ちゃんの見せ場はどこよ? 戦うどころか、あっと言う間に連れ去られて囚われのお姫様みたく監禁されてる姿観たときには、思わずヘンな声が出ちゃったわよ。周りでご鑑賞中のみなさま、ごめんあそばせ。だってあんまりなんですもの。なに、あの緊縛の仕方。笑わせにかかってどうすんのよ。ショーン・ビーンもショーン・ビーンよ。おとなしくあんなところに縛られてんじゃないわよ!(←言いがかり)。
悪い魔女との離婚を果たし、近年バリバリとお仕事に励んでいらっさるご様子のショーン・ビーンさんですが、シゴトエラベヨ、と涙目で揺さぶってやりたくなる状況は相変わらずなのかなぁ。なんだか遠い目になっちゃうなぁ。これは一日も早く「評価されてるショーン・ビーン」を観なくっちゃ。劇場公開は少ないけど、DVDなら新作があれこれ出てますよね。……あ、ハリーというキャラクターおよびその扱いはしょぼかったけど、ショーン・ビーンの存在及びその演技は決して悪かったわけじゃないですよ。上映時間の大部分、縛られたまま何ひとつできず、涙目になってプルプル震えていただけでしたけれども。(←言いすぎ)。
映画全体について言えば、これはまた大層ザンネンな印象。
やっぱり映画前作の一応の成功は、クリストフ・ガンズのこだわりとセンスに因るところが圧倒的に大きかった模様です。今作でも確かに前作の独特で魅力的なビジュアルはいいカンジに引き継がれていたものの、ホラー演出のヘタさは致命的。とにかくドーンと音で脅かしヒロインがキャー! と喚く演出の繰り返し。タイミングもアングルも視点の置き所も、怖がらせるテクニックとは程遠く、そのタイミングじゃないダロ! そのアングルじゃないっ! だからそこに視点おくのはちがうっ! と、イライラしながら鑑賞する始末。一体いつ怖がれと言うの。ちっとも全く怖くないのに、とにかくしつこく脅しにだけはかかって来るから、端的に言って不愉快。不愉快なホラー。まさに誰得。
総じて非常に安っちい印象です。移動サーカスの見世物小屋的哀愁。
ピラミッドヘッドとかナース軍団とか、前作でも印象的だったクリーチャーはそのまま出てきますが、ピラミッドヘッドがいつの間にかヒロインの守護神になってたりして、よくわかりません。たぶん前作でもかれはアレッサの守護神ではあったんでしょうね。そして今作ではアレッサとヘザーが融合してしまったので、ピッドくんもそんじゃ、ってことでヘザーを守ってくれたんだとは思うけど、ピッドくん味方なら怖くないじゃん。怖くないホラー。まさに誰得。
そしてその肝心のヘザーですが、演じるアデレイド・クレメンスはミシェル・ウィリアムスに似たかわいいお嬢さんではあるけれど、なんだかあまりに普通っぽくてホラー世界の世界観を担えるほどの雰囲気がない。前作のジョデル・フェルランドはよかったのになぁ。前作から6年も時間が経ってしまったというのは、確かにあまりにも痛いマイナス要因ではあるけど、その分、ジョデル・フェルランドも作品世界の設定と同じぐらいの年齢に成長しているのは大きな強みになるはず。ショーン・ビーンもラダ・ミッチェルもデボラ・カーラ・アンガー(アレッサのママ、ダリア役)もそのまま続投しているのだから、シャロンの役もジョデル・フェルランドが演じればよかったのに。
あと、悪の教団(たぶんちがう)のラスボス・クローディアを演じたキャリー=アン・モスが、白雪姫の悪い魔女みたいで綺麗でしたね。ガッチャマンの悪役みたいなのに変身しちゃったのには笑ったけど。しかもピッドくんと肉弾戦で戦いだした時には、正直弱り果ててしまったけど。そして、そのクローディアの父親・レナードを演じていたのがマルコム・マクダウェルだったりと、何気に豪華なキャストでした。マクダウェル、設定からすると、一緒に戦ってくれるキャラかと思ったのにちがったねぇ。
最後に、今作のショーン・ビーンの一番いい場面を貼っておきますね。
回想シーンの一幕。
黒のセーターを着せたら右に出る者はいない男。
2006年のクリストフ・ガンズ監督版『サイレントヒル』の続編。
今作の監督はマイケル・J・バセット。
ガンズ版の映画は、原作ゲームの世界観を巧みに表現した「わかってらっしゃる!」感がハンパない映像で、ゲームファンのハートをがっちり鷲づかみした作品だったようですが(わたしはゲームを知らないので、そこんとこ判断できないのです)、今回監督変わっちゃってるし、正直、どうなんダロと思いながらもやっぱり観て来ました。だってショーン・ビーンが出てるんだもん。しかも、前作ではショーン・ビーン演じるヒロインの父親は、娘を助けるべく獅子奮迅の活躍をする母親を後目に、蚊帳の外におかれて終始オロオロしているだけで、出番すらロクになく、全くもって「ショーン・ビーンの無駄遣い」だったのに引き換え、今作では選手交代して娘を守って戦うのは父親だという噂。これはやっぱり観なくっちゃ☆
前作ラスト、自分の身代わりとなった母親ローズ(ラダ・ミッチェル)をサイレントヒルに残し、ひとりだけで帰還を果たした娘のシャロン(aka ヘザー、アデレイド・クレメンス)は、以後父クリストファー(aka ハリー、ショーン・ビーン)とふたり、それぞれ名前すら変え、各地を転々としながらひっそりと暮らしていた。逃亡生活を送るようになった直接の引き金は、父が家宅侵入した「強盗」を殺してしまったからだったが、事の真相について、父は決して語ることはなかった。とにかく、学校からはまっすぐ家に帰ること、「サイレントヒル」には決して行かないこと。ただそれだけをくどいほどに繰り返し言い聞かせる父。果たしてサイレントヒルとは何か? 過去の記憶を失ってしまっていたヘザーには全くの謎だった。そんなある日、ハリーが何者かによって誘拐されてしまう。父親を救出すべく、ヘザーはサイレントヒルを目指すのだが……。
……ん? あれ?
この話って、「父親が娘を守って戦う」話じゃなかったん? 娘が父親を助けに行く話? ちょ、話がちがうぢゃん。父ちゃんの見せ場はどこよ? 戦うどころか、あっと言う間に連れ去られて囚われのお姫様みたく監禁されてる姿観たときには、思わずヘンな声が出ちゃったわよ。周りでご鑑賞中のみなさま、ごめんあそばせ。だってあんまりなんですもの。なに、あの緊縛の仕方。笑わせにかかってどうすんのよ。ショーン・ビーンもショーン・ビーンよ。おとなしくあんなところに縛られてんじゃないわよ!(←言いがかり)。
悪い魔女との離婚を果たし、近年バリバリとお仕事に励んでいらっさるご様子のショーン・ビーンさんですが、シゴトエラベヨ、と涙目で揺さぶってやりたくなる状況は相変わらずなのかなぁ。なんだか遠い目になっちゃうなぁ。これは一日も早く「評価されてるショーン・ビーン」を観なくっちゃ。劇場公開は少ないけど、DVDなら新作があれこれ出てますよね。……あ、ハリーというキャラクターおよびその扱いはしょぼかったけど、ショーン・ビーンの存在及びその演技は決して悪かったわけじゃないですよ。上映時間の大部分、縛られたまま何ひとつできず、涙目になってプルプル震えていただけでしたけれども。(←言いすぎ)。
映画全体について言えば、これはまた大層ザンネンな印象。
やっぱり映画前作の一応の成功は、クリストフ・ガンズのこだわりとセンスに因るところが圧倒的に大きかった模様です。今作でも確かに前作の独特で魅力的なビジュアルはいいカンジに引き継がれていたものの、ホラー演出のヘタさは致命的。とにかくドーンと音で脅かしヒロインがキャー! と喚く演出の繰り返し。タイミングもアングルも視点の置き所も、怖がらせるテクニックとは程遠く、そのタイミングじゃないダロ! そのアングルじゃないっ! だからそこに視点おくのはちがうっ! と、イライラしながら鑑賞する始末。一体いつ怖がれと言うの。ちっとも全く怖くないのに、とにかくしつこく脅しにだけはかかって来るから、端的に言って不愉快。不愉快なホラー。まさに誰得。
総じて非常に安っちい印象です。移動サーカスの見世物小屋的哀愁。
ピラミッドヘッドとかナース軍団とか、前作でも印象的だったクリーチャーはそのまま出てきますが、ピラミッドヘッドがいつの間にかヒロインの守護神になってたりして、よくわかりません。たぶん前作でもかれはアレッサの守護神ではあったんでしょうね。そして今作ではアレッサとヘザーが融合してしまったので、ピッドくんもそんじゃ、ってことでヘザーを守ってくれたんだとは思うけど、ピッドくん味方なら怖くないじゃん。怖くないホラー。まさに誰得。
そしてその肝心のヘザーですが、演じるアデレイド・クレメンスはミシェル・ウィリアムスに似たかわいいお嬢さんではあるけれど、なんだかあまりに普通っぽくてホラー世界の世界観を担えるほどの雰囲気がない。前作のジョデル・フェルランドはよかったのになぁ。前作から6年も時間が経ってしまったというのは、確かにあまりにも痛いマイナス要因ではあるけど、その分、ジョデル・フェルランドも作品世界の設定と同じぐらいの年齢に成長しているのは大きな強みになるはず。ショーン・ビーンもラダ・ミッチェルもデボラ・カーラ・アンガー(アレッサのママ、ダリア役)もそのまま続投しているのだから、シャロンの役もジョデル・フェルランドが演じればよかったのに。
あと、悪の教団(たぶんちがう)のラスボス・クローディアを演じたキャリー=アン・モスが、白雪姫の悪い魔女みたいで綺麗でしたね。ガッチャマンの悪役みたいなのに変身しちゃったのには笑ったけど。しかもピッドくんと肉弾戦で戦いだした時には、正直弱り果ててしまったけど。そして、そのクローディアの父親・レナードを演じていたのがマルコム・マクダウェルだったりと、何気に豪華なキャストでした。マクダウェル、設定からすると、一緒に戦ってくれるキャラかと思ったのにちがったねぇ。
最後に、今作のショーン・ビーンの一番いい場面を貼っておきますね。
回想シーンの一幕。
黒のセーターを着せたら右に出る者はいない男。
by shirakian
| 2013-07-26 11:25
| 映画さ行