2013年 06月 23日
エンド・オブ・ホワイトハウス
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★ネタバレ注意★
アメリカ合衆国大統領を演じた役者、と言えばだれを思い浮かべますか?
最近ではやはり、エイブラハム・リンカーンを演じた『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイスの名前を挙げるべきかと思いますが、『インデペンデンス・デイ』で大統領を演じたビル・プルマンの能天気やっはーぶりなどもまた、しみじみと趣深いものでありました。個人的に好きだったのは、『13デイズ』で苦悩するケネディを演じたブルース・グリーンウッド。わたしはこの映画でかれのファンになったんじゃなかったかな。あと、たまたま容貌が似ていたばっかりに、無理矢理大統領の身代わりに祭り挙げられてしまったひとのいい一般人を演じた『デーヴ』のケヴィン・クラインもよかったな。
だけどやっぱりなんと言っても、合衆国大統領と言えば、『ディープ・インパクト』のモーガン・フリーマンが白眉なんじゃあるまいか。
当時は黒人大統領というだけで十分ディープなインパクトがありましたが(まさか現実が追いついて来ようとは)、単にそれのみならず、未曾有の国家的危機(ってゆーか、あの場合は地球規模の災厄だったけど)に際し、焦らず騒がずどっしりと構えて国民に最善の道を示すことのできる信頼に足る大統領の中の大統領として、観客の心に深く刻まれたことでありました。
そのフリーマンの大統領が帰って来たのがこの映画です。
正確に言えば、フリーマンは大統領の代理ですが。
大統領有事の際にはだれが代役を勤めるか、っていうのはもちろん厳密に決まっていて、まず最初に副大統領、それもダメなら下院の議長が勤めるということになっています。フリーマンが演じたのはこの下院の議長の役です。
では大統領役はだれだったのか? と言えば、これが奥様、アーロン・エッカートですのよ☆ 合衆国史上最もグッドルッキングな大統領ですわね☆
今回、わたくし、このエッカートの大統領を観るために劇場に足を運びました(前置きがなげーよ)。
アントワーン・フークア監督作品。
あれこれ難しいことは考えず、とりあえずアクションを楽しみましょうや、というタイプの映画だと思う。
大統領付きのシークレット・サービス、マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は、護衛中のアクシデントで大統領夫人(アシュレイ・ジャッド)を守りきれず死なせてしまう。以来、財務省でデスクワークに甘んじる冷や飯食いの日々。そんなある日、北朝鮮工作員の奇襲攻撃により、ホワイトハウスが占拠され、あろうことかベンジャミン・アッシャー大統領(アーロン・エッカート)が人質にとられてしまう。警備にあたっていたシークレット・サービスは全滅。軍部の対応も後手後手に回る中、なぜか単独でホワイトハウスに潜入することに成功したマイクの活躍や如何に!?
難攻不落の要塞を無駄に優秀なテロリストに占拠され、たまたま居合わせた世界一運の悪い男がたったひとりで闘う! というこの流れを見れば、だれがどう見てもダイ・ハードなわけで、もしかしてこの脚本ってダイ・ハードシリーズのために書かれたもんじゃないの? マクレーンはチェルノブイリくんだりなんか行かずにホワイトハウスで闘った方がよかったんじゃないの? と思わずにはいられません。
いやいやマクレーンはコップだし、シークレット・サービスじゃないし、っていうのが唯一の(?)ネックになるかと思いますが、よくよく冷静に見てみれば、この映画のヒーローが何がなんでもシークレット・サービスでなければならないという理由って、別にそれほどなかったっぽい。や、それは若干微調整は必要になるでしょうが、それにしたってシークレット・サービスであるという設定がさほど生かされていたとは思えないです。
なんだかイケズな感想ですが、それもそのはず、この映画を見て一番強く思ったのはこのこと。圧倒的にかしこさが足りない。
ホワイトハウス占拠の電撃作戦にしても、一体アレがどうして成功できたのかシロウト目にも絶対納得できないし、いくらなんでも軍部がバカすぎるし、ジェラルド・バトラーただひとりが内部に侵入できたという成り行きも全く説得力がないし、だいたいこれじゃ、北朝鮮はともかく(北朝鮮はもはや完全にカタキ役。釈明する気すらない仮想敵国扱いがいっそ清々しいです(か?))韓国に対して失礼すぎるダロ。偽装脱北者が韓国の中枢部に浸透しているわ、一国の首相を簡単に殺すわ、植民地扱いするわ、こりゃ韓国人、怒るわ。
なのでわたしとしては、いっそこの映画が果たして韓国に対してどのような意図でもって製作されたのか、ということを全力で考察してみたい衝動にかられてしまいました。韓国に対する如何なるメッセージがこめられていたのか? っていうのをですね、微に入り細を穿ちねちねちと掘り出してみたいという……。それこそ誰得。
えーと、ことほどさようにストーリーはとんでも系だったけど、役者さんはみんなよかったです☆ 豪華なメンツで大変楽しませていただきました。
ジェラルド・バトラーの闘う男は問答無用でかっこいいし、大統領夫人を演じたアシュレイ・ジャッドは登場時間こそ短いながら、出てくるだけで画面がぱあっと華やぐ見事なファーストレディっぷりだったし、モーガン・フリーマンの下院議長は安定の信頼感で負ける気がしないし、国防長官を演じたメリッサ・レオの硬骨漢っぷりも惚れ惚れしたし、シークレット・サービスの長官を演じたアンジェラ・バセットの知的な雰囲気も映画をひきしめていました。
そしてアーロン・エッカートの大統領ですけど。これはまさしくハービー・デントだね。敏腕検事から政界をのぼりつめてそのまんま大統領になったひとだ。まっすぐでピュアで脇が甘い(笑)。いいひとであるにはまちがいないんだけど、(とくにこんな事態のときに)大統領を任せるにはあまりにも線が細すぎた感は否めません。もっとこう、ずるくてしぶとくてふてぶてしくないと、テロリストに勝てない(>_<)。
一番ザンネンな印象だったのはやはり、ケルベロスシステムのコードを巡る攻防です。大統領・副大統領・国防長官の三人がそれぞれひとつずつ、全米の核兵器を解除するコードを持っていて、三つのコードを入力することにより、全米を武装解除できるのみならず、操作次第では自爆させることも可能で、そうすると、アメリカ全土を核の被災地にすることができる。他国を搾取してぬくぬくと肥えふとったアメリカも、核の冬の下、飢えと貧困に喘ぐがいい! っていうのがテロリストの目的だったわけですね。このコードの扱いを巡る描写もあれこれなんだかなぁ、だったんだけど、一番困ってしまうのは、大統領の対応ですよ。副大統領や国防長官が目の前で拷問される姿を見るのがしのびないからって、自分の分については絶対に口を割らないから、きみたちの分は喋ってしまいなさい! じゃ困るでしょ。実際、三つのうち二つまで知られてしまえば、あとのひとつなんか大統領が口を割るまでもなく、あっさり敵に割り出されてしまったわけで。大統領、ナイーブすぎる。
わたしがモーガン・フリーマンなら、こんな大統領ひとり守るの守らないのと苦悩する前に、問答無用で切り捨てるけどなぁ。第七艦隊撤退の判断なんて全くとんでもないと思うんだけど。だってそうでしょ、大統領ひとりの命より国民全員の安全の方が大事でしょ? 大統領の代わりなんかいくらでもいる、いまここにいる、フリーマンが立派にやってのけている。
や、アーロン・エッカートの大統領、ハンサムだしセクシーだし、キャラクターとしては全然全く悪くなかったので、観客としては大満足なんですけどね。合衆国国民だとしたらいやだなぁ、と思っただけ。あと、日本の存在感、なさすぎ。いくら核保有国じゃないからって、安保理の常任理事国じゃないからって、隣国があんなことになっているというのに、連絡ひとつしてもらえないなんて。アメリカのこと、おトモダチだと思っていたのに(ホロリ)。
アメリカ合衆国大統領を演じた役者、と言えばだれを思い浮かべますか?
最近ではやはり、エイブラハム・リンカーンを演じた『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイスの名前を挙げるべきかと思いますが、『インデペンデンス・デイ』で大統領を演じたビル・プルマンの能天気やっはーぶりなどもまた、しみじみと趣深いものでありました。個人的に好きだったのは、『13デイズ』で苦悩するケネディを演じたブルース・グリーンウッド。わたしはこの映画でかれのファンになったんじゃなかったかな。あと、たまたま容貌が似ていたばっかりに、無理矢理大統領の身代わりに祭り挙げられてしまったひとのいい一般人を演じた『デーヴ』のケヴィン・クラインもよかったな。
だけどやっぱりなんと言っても、合衆国大統領と言えば、『ディープ・インパクト』のモーガン・フリーマンが白眉なんじゃあるまいか。
当時は黒人大統領というだけで十分ディープなインパクトがありましたが(まさか現実が追いついて来ようとは)、単にそれのみならず、未曾有の国家的危機(ってゆーか、あの場合は地球規模の災厄だったけど)に際し、焦らず騒がずどっしりと構えて国民に最善の道を示すことのできる信頼に足る大統領の中の大統領として、観客の心に深く刻まれたことでありました。
そのフリーマンの大統領が帰って来たのがこの映画です。
正確に言えば、フリーマンは大統領の代理ですが。
大統領有事の際にはだれが代役を勤めるか、っていうのはもちろん厳密に決まっていて、まず最初に副大統領、それもダメなら下院の議長が勤めるということになっています。フリーマンが演じたのはこの下院の議長の役です。
では大統領役はだれだったのか? と言えば、これが奥様、アーロン・エッカートですのよ☆ 合衆国史上最もグッドルッキングな大統領ですわね☆
今回、わたくし、このエッカートの大統領を観るために劇場に足を運びました(前置きがなげーよ)。
アントワーン・フークア監督作品。
あれこれ難しいことは考えず、とりあえずアクションを楽しみましょうや、というタイプの映画だと思う。
大統領付きのシークレット・サービス、マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は、護衛中のアクシデントで大統領夫人(アシュレイ・ジャッド)を守りきれず死なせてしまう。以来、財務省でデスクワークに甘んじる冷や飯食いの日々。そんなある日、北朝鮮工作員の奇襲攻撃により、ホワイトハウスが占拠され、あろうことかベンジャミン・アッシャー大統領(アーロン・エッカート)が人質にとられてしまう。警備にあたっていたシークレット・サービスは全滅。軍部の対応も後手後手に回る中、なぜか単独でホワイトハウスに潜入することに成功したマイクの活躍や如何に!?
難攻不落の要塞を無駄に優秀なテロリストに占拠され、たまたま居合わせた世界一運の悪い男がたったひとりで闘う! というこの流れを見れば、だれがどう見てもダイ・ハードなわけで、もしかしてこの脚本ってダイ・ハードシリーズのために書かれたもんじゃないの? マクレーンはチェルノブイリくんだりなんか行かずにホワイトハウスで闘った方がよかったんじゃないの? と思わずにはいられません。
いやいやマクレーンはコップだし、シークレット・サービスじゃないし、っていうのが唯一の(?)ネックになるかと思いますが、よくよく冷静に見てみれば、この映画のヒーローが何がなんでもシークレット・サービスでなければならないという理由って、別にそれほどなかったっぽい。や、それは若干微調整は必要になるでしょうが、それにしたってシークレット・サービスであるという設定がさほど生かされていたとは思えないです。
なんだかイケズな感想ですが、それもそのはず、この映画を見て一番強く思ったのはこのこと。圧倒的にかしこさが足りない。
ホワイトハウス占拠の電撃作戦にしても、一体アレがどうして成功できたのかシロウト目にも絶対納得できないし、いくらなんでも軍部がバカすぎるし、ジェラルド・バトラーただひとりが内部に侵入できたという成り行きも全く説得力がないし、だいたいこれじゃ、北朝鮮はともかく(北朝鮮はもはや完全にカタキ役。釈明する気すらない仮想敵国扱いがいっそ清々しいです(か?))韓国に対して失礼すぎるダロ。偽装脱北者が韓国の中枢部に浸透しているわ、一国の首相を簡単に殺すわ、植民地扱いするわ、こりゃ韓国人、怒るわ。
なのでわたしとしては、いっそこの映画が果たして韓国に対してどのような意図でもって製作されたのか、ということを全力で考察してみたい衝動にかられてしまいました。韓国に対する如何なるメッセージがこめられていたのか? っていうのをですね、微に入り細を穿ちねちねちと掘り出してみたいという……。それこそ誰得。
えーと、ことほどさようにストーリーはとんでも系だったけど、役者さんはみんなよかったです☆ 豪華なメンツで大変楽しませていただきました。
ジェラルド・バトラーの闘う男は問答無用でかっこいいし、大統領夫人を演じたアシュレイ・ジャッドは登場時間こそ短いながら、出てくるだけで画面がぱあっと華やぐ見事なファーストレディっぷりだったし、モーガン・フリーマンの下院議長は安定の信頼感で負ける気がしないし、国防長官を演じたメリッサ・レオの硬骨漢っぷりも惚れ惚れしたし、シークレット・サービスの長官を演じたアンジェラ・バセットの知的な雰囲気も映画をひきしめていました。
そしてアーロン・エッカートの大統領ですけど。これはまさしくハービー・デントだね。敏腕検事から政界をのぼりつめてそのまんま大統領になったひとだ。まっすぐでピュアで脇が甘い(笑)。いいひとであるにはまちがいないんだけど、(とくにこんな事態のときに)大統領を任せるにはあまりにも線が細すぎた感は否めません。もっとこう、ずるくてしぶとくてふてぶてしくないと、テロリストに勝てない(>_<)。
一番ザンネンな印象だったのはやはり、ケルベロスシステムのコードを巡る攻防です。大統領・副大統領・国防長官の三人がそれぞれひとつずつ、全米の核兵器を解除するコードを持っていて、三つのコードを入力することにより、全米を武装解除できるのみならず、操作次第では自爆させることも可能で、そうすると、アメリカ全土を核の被災地にすることができる。他国を搾取してぬくぬくと肥えふとったアメリカも、核の冬の下、飢えと貧困に喘ぐがいい! っていうのがテロリストの目的だったわけですね。このコードの扱いを巡る描写もあれこれなんだかなぁ、だったんだけど、一番困ってしまうのは、大統領の対応ですよ。副大統領や国防長官が目の前で拷問される姿を見るのがしのびないからって、自分の分については絶対に口を割らないから、きみたちの分は喋ってしまいなさい! じゃ困るでしょ。実際、三つのうち二つまで知られてしまえば、あとのひとつなんか大統領が口を割るまでもなく、あっさり敵に割り出されてしまったわけで。大統領、ナイーブすぎる。
わたしがモーガン・フリーマンなら、こんな大統領ひとり守るの守らないのと苦悩する前に、問答無用で切り捨てるけどなぁ。第七艦隊撤退の判断なんて全くとんでもないと思うんだけど。だってそうでしょ、大統領ひとりの命より国民全員の安全の方が大事でしょ? 大統領の代わりなんかいくらでもいる、いまここにいる、フリーマンが立派にやってのけている。
や、アーロン・エッカートの大統領、ハンサムだしセクシーだし、キャラクターとしては全然全く悪くなかったので、観客としては大満足なんですけどね。合衆国国民だとしたらいやだなぁ、と思っただけ。あと、日本の存在感、なさすぎ。いくら核保有国じゃないからって、安保理の常任理事国じゃないからって、隣国があんなことになっているというのに、連絡ひとつしてもらえないなんて。アメリカのこと、おトモダチだと思っていたのに(ホロリ)。
by shirakian
| 2013-06-23 20:30
| 映画あ行