2009年 04月 30日
【海外ドラマ】CSI:NY/シーズン3
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【CAUTION】このエントリーはネタバレという以前に、番組をご覧になっていない方には、全くわけのわからん文章になっております。番組ファン以外の方、ほんと、ごめんなさい(汗)。
■CSI:NY/シーズン1
■CSI:NY/シーズン2
シーズンも3だというのに、全く衰えない面白さ(>_<)! 番組スタッフおよびキャストのみなさま、ほんとにどうもありがとう! DVD貸してくれたオトモダチの天使さま、ほんとにどうもありがとう!
シーズン3の特徴を挙げれば、以下のようになるかと存じます(順不同)。
①ホークス先生の描写が深化した!
②相変わらず続くステラいぢめ(涙)。
③ドンちゃん、なんだか、ものっそカッコイイ(≧▽≦)!
④ダニーがオトナだ。
⑤シド先生が、人間味を示し、単なる怪しいおぢさんから脱却。
⑥リンジーが丸すぎる件について。
⑦マック、一体どうしたの(汗)?
【シェルドン・ホークスとマック・テイラー】
今シーズンでは、ホークス先生が特に印象的でした。
1と2では傍観者的な立ち位置であることが多かったホークス先生の、ついに明かされるER時代の心の傷。古巣の病院との対立。そればかりか、逆恨みのターゲットにされ、命を狙われた挙句、冤罪をきせられるというドラマチックな展開まで用意されていて、ホークス先生、てんこ盛り!
中でも一番印象深かったのが、マックと対立するエピソードです。被害者と面識があったにもかかわらず、そのことをマックに告げずに捜査を続けてしまったホークス。しかもまずいことに、被害者から採取された証拠の中にあった電話番号は、ホークス自身のものだった……。という展開は、明らかにホークスの認識の甘さ、判断ミスですが、それに対するマックの対応がいかにもまずかった。ホークスを捜査からはずすのは当然としても、大勢の部下の前で感情も露わに怒鳴りつけるのは酷い。リンジーが一旦席をはずしかけたのを引き止めてまで、衆目の前で、ラボの秩序を乱すことはまかりならん、と鼻息の荒いマック。今までは、ホークス先生の検視官としてのキャリアを尊重し、上司とルーキーというより、対等に近いほどの丁重な接し方をしてきていたはずなのに……マック、一体、どうしちゃったの?
ストリクトさはマックの魅力です。ストリクトだからこそマック、と言ってもいいくらい。ダニーの暴走に対し、ダニー自身が見捨てられたと思うほどに冷たい態度で臨んだのも、エイデンの出来心に対しあくまで断固たる対応をしたのも、今回ホークス先生を捜査からはずしたのも、厳しすぎるとは思うけど、凛然と筋が通っていてマックらしいとは思います。
だけど、ストリクトさが魅力になるのは、自分自身に対しても厳しいときだけです。ひとには厳しく言うくせに、自分に対する基準が甘いのでは、単なるいばりんぼう。
実はマック、シーズン3ではどっぷりとオフィスラブにはまっています。
NYラボでは、オフィスラブは別に御法度ではないらしいけど、多くの組織で禁止されていることである以上、やっぱりそこには好ましくない側面があることは否めません。
オフィスにプライベートを持ち込み、冷静でいてほしい局面で感情的になってしまうようでは、せっかくシーズン2で力強くステラを励まし、ダニーをなぐさめ、ドンの命を救い、「真に頼れるチームリーダー」として脱皮したかに見えたのが台無しです。
そもそも、同僚と性的関係にあるという設定、マック・テイラーの魅力を感じさせるには、全く寄与していないように思えるので、一体なんでこういうことにしたのか、理解に苦しみます。
マックの「人間味」を出すための仕掛けなら、このシーズンには「クレアの遺児」という秀逸な隠し弾があるのですから、もっとそっちをつきつめればいいのに。亡くなった妻を今も尚愛し、恐らく終生愛し続けるであろうマック。そのマックの前に現れた、クレアが十代の妊娠で出産し、育てられずに養子に出した少年。片や最愛の妻、片やまだ見ぬ生みの母親。大事なひとを失ったふたりの心が、ぎこちなく寄り添っていく描写は、人間的で暖かく、若者と親しくなろうとするマックの不器用っぷりはすごくいいです。この子とマックの関係、単なる使い捨てのエピソードで終わらなければいいのだけど。
ところで、ホークス先生と「面識があった」被害者との関係ですが、これがまた、すっごくらしくていいのですよ。ホークスは別に彼女とおつきあいしてたわけじゃなく、偶然出会った時、たまたま彼女が落ち込んでいたので、純粋になぐさめてあげたくて電話番号を渡しただけなのです。そしてそのことをマックに言わなかったのは、無残なむくろを晒した被害者が、できれば彼女でなければいいのにと思ってしまった、繊細な心の揺らぎが原因でした。
ホークス先生、顔立ちがとっても端正ですから、飄々とおとぼけを演じる姿も味があるけど、やっぱりなんと言っても憂い顔が似合う(笑)。
【ドン・フラックとマック・テイラー】
今回はほんとにドンちゃんが色々とかっこよくて、もう、どうしようかと思いました(どうもしなくていいです)。防弾チョッキ着用の突入シーンのビジュアルのかっこよさももちろんですが、番組的には一番若造のくせに、刑事チームではチームリーダーであるドンちゃん! アダムとダニーが人質になったエピソードでは、顔色ひとつ変えず、犯人に自分との人質交換を申し出たりして、頼れる男の色香がプンプンです(笑)。
そして今回はドンちゃんもまたマックと対立してしまうのです。
大量に押収した麻薬の一部を着服した悪徳警官。その事実を隠蔽するため、新たに殺人を重ねたのはだれか。押収の際、現場を指揮したドンのメモには、その警官の名前が書かれていました。マックはそれをドンに要求したのです。
ドンの懸念は、それが仲間の警官を売る行為であるということではなく、その警官を逮捕することにより、その警官が逮捕した犯罪者たちが再審を請求し、無罪放免されることへの危機感でした。犯罪は犯罪、いかなる理由があろうと犯人を見逃すことはできない、とするマックの立場と、根本的に対立してしまったのですが、マック、ここでもドンちゃんに対するフォローが甘い……。ドンの立場や気持ちや現にその懸念が現実化してしまったことなどについて、あまり深く考えず、表面的な取り成しをしているだけのように見えてしまいます。ドンちゃんが言ってるのは、そういうことぢゃないでしょ、マック?
不幸にしてドンの懸念は現実化し、最悪の連続殺人鬼が釈放されてしまい、新たな犠牲者が出てしまいます。マックは当然自責の念がありますから、この犯人逮捕の際、私情に走り、チームとの連繋を怠り、単独で追い詰めた結果、犯人を死に至らしめてしまう。この行為が後に、NYPDの局長であるシンクレアの野望のために利用されることになり、マックを追い詰める結果にもなるのですが、それはともかく、このエピソードでも、マックが単独で犯人を追って飛び出したことに気づいた瞬間、行動に移ったドンが、あくまでマニュアル通りの手順を踏み、仲間に連絡の上協力を要請しながら適確に動いていた姿が、より鮮やかに印象づけられたのです。
ホークスにしてもダニーにしても、マックと対立することがあるとは言っても、そこはそれ、基本的にマックはボスですから、どこか遠慮があります。でもドンちゃんはマックの部下ではない。反発するにも反論するにも感情を爆発させるにしても、堂々と遠慮がなく、まっこうからがっぷりぶつかるので、観ていてほんとに気持ちがいいです。しかもその上、マックが暴走した際には、自分の上司にマックのことをとりなす余裕すら見せてくれちゃって、ほんと、警察の水に馴染んで人間関係うまいことやってるなぁ、と、あ、いや、カッコイイなぁ、オトナだなぁ、と思います(笑)。
幸せそうに押収品のチョコトルテを頬張ってる顔もかわいいけど、戦う男、ドン・フラック、有望株です、買い時です(笑)。
【ダニー・メッサーと擬態するイタリア男】
なんということでしょう、ダニーちゃんがとってもオトナなんですよ(笑)。あ、いや、実際子どもじゃないんだけど、でも、オトナではなかったよね、このひとは。
ホークス先生が陥れられた際に、チームメイトが容疑者となったため、捜査からはずされたにもかかわらず、勝手に目撃者を尋問するというちょっとした暴走を見せこそしましたが、リンジーとの仲がぎくしゃくしたときも、マックが危機に陥ったときも、マックとフラックが対立したときも、見事にオトナの態度をキープするダニー。特にリンジーを見守る際の男はつらいよっぷりは、確実に男をあげたと思います。
マックのオフィスラブには反感を感じるのに、ダニーとリンジーは応援したい気持ちになるのには、色々要因があるかと思います。まず大きいのは、マックとダニーの立場やキャラクターの違いでしょうし、リンジーとペイトンの好感度の差も大きいでしょう。でも、やっぱり一番の要因は、それぞれのカップルのプレゼンテーションのちがいだと思います。ダニーとリンジーのカップルは、その馴れ初めから、まるで中学生みたいにおずおずと初々しく惹かれあっていく過程を、じっくりじっくり描きこんでいったので、視聴者だって身近に寄り添って応援する気持ちになるわけです。ふたりの間にベイビーができ、正式に結婚することは知ってるけど、でも、心からふたりの幸せを願い、その関係から目が離せません。
ところで最終話ですが、ダニーはアダムと共に、IRAの活動資金となる大量の麻薬密売を目論んだ犯人グループによって、人質にとられてしまいます。その際犯人たちは、アダムの護衛につきそっていた制服警官は拘束したのに、「ヤワな科学捜査官」であるアダムとダニーは野放し状態で監視下に置きました。
ダニーの身体能力および戦闘能力の高さを知っている我々であれば、拘束するなら真っ先にダニー・メッサーの動きを封じると思うのだけど、犯人たちは、ダニーの外見に騙されてしまった(笑)。ただでさえ、金髪碧眼で小柄な眼鏡っこです。しかもその職業が「科学者さん」である捜査官なんですから、まさかこのちびっこが山猫なみの戦闘力を持っているとは夢にも思わない上に、このときのダニーの服装がズルイんですよ(笑)。擬態するイタリア男というのは、そのこと。
ダニーは日ごろ、シャツなら張りのある生地のものをパリッと着ているし、もっとラフな服装のときは、身体の線がはっきりとわかる(ということは、たくましい肩や二の腕が意識される)服を着ているのに、この日に限り、柔らかい生地でややオーバーサイズの白いシャツの腕をまくり、パンツにインせずにルーズに着こなしているのであります。この格好は、身体つきを華奢に見せる着こなしテクニックの総決算のようなもの。こんな服装で現れられては、犯人グループとしても、ひ弱なお嬢ちゃんと判断してしまってもやむを得ないというものです。おかげでものすごい反撃をくらってしまいましたが(笑)。
シーズン3ではカケラも触れられなかったのですが、ダニーのお兄ちゃんのルイはどうなったんでしょうね……。仮に亡くなったとしたら、ドラマ的にすごい盛り上がれるエピソードのはずだから、番組的にスルーするはずがないと思うので、まだ意識不明のままなんだと思うのだけど、ちょっとは言及してほしいです、心配だもの……。
【アンナ・ベルナップ】
リンジーじゃなくて、中のひとについてです。
リンジーには何も含むところはないのですが、中のひとは、どうなんだろ、同じドラマのシーズン中に、二回も妊娠するなんて……。
よく知りませんけど、ドラマのレギュラー契約って、ちょっと体重が変わっても契約違反に問われかねないような、かなり厳しいものなんじゃないですか? 特殊なケースかもしれないけど、プリンセス・テンコーなんて、髪型変えただけで契約違反に問われたって言うでしょ?
10年20年契約というのでもあるまいし、病気や怪我ならともかく、妊娠という(ある程度)自らの意志でコントロールできることで番組に迷惑をかけて、それが二度までも許されてしまうなんて、ちょっと不思議に思われます。リンジー、よっぽど人気なのかな。それとも、ベルナップには強力な後ろ盾とかがいるのかな(汗)。
それにしても、ベルナップの妊娠を居直ってドラマの中にとりこんだシーズン5とは違い、あくまで誤魔化し通したシーズン3では、カメラさんの苦労に泣きました(笑)。極力お腹が目立たないように配慮した、匠の技的カメラアングル(>_<)!
しかしあの顔のまんまるっぷりは、せっかくの「お腹を目立たせない配慮」も無にしかねない、テレビに出る女優さんとしてはギリギリの瀬戸際でした(っていうか、瀬戸際越えてたと思うんだけど(汗))。でも、最終話のベッドシーンでは、元に戻っててよかったぁ(笑)。あのシーンのリンジー、ほんと綺麗でしたねぇv
【ペイトン・ドリスコル】
わたしはペイトンが好きではありませんので、バイアスのかかった見方ですが、番組の流れそのものも、ペイトンに好意的ではなかったような気がしてなりません。
まずその登場の仕方からして、番組の主役であるマックのファンを敵に回すようなやり方です。本気で彼女の存在を視聴者に受け入れさせたいと思うのなら、そもそも「マックのパートナーとして不足のない女性」ということをじっくりと浸透させるようなアプローチこそが正道だと思うのに、どういう計算の結果なのか、いきなり情事の場面から始めて、マックファンの神経を逆撫でし、続く「仕事」の場面でも、情事のシーンはあっても決して現場にはひきずらなかったステラとは大違いで、ねっとりと思わせぶりな視線をマックに注ぎ、「オフィスラブ」という言葉の淫靡な局面ばかりを際立たせるような演出です。
しばらく大学で教えていた彼女が古巣に戻ってきた理由というのが、「教職って、ルーティンワークだから」。この発言ひとつで、真剣に教育に取り組んでいる世界中の教育者を敵に回したと思います。こんな悪意あるプロフィール紹介の仕方も珍しい。
シーズン3では、いかに有能な検視官でも判断を誤って仕方のない難しいケースもある、という事例がいくつか出てきます。客観的に観れば、判断ミスと言うのは気の毒すぎるケースですが、それらが全て彼女に集中したとあれば、どうしても検視官としてはあまり有能ではないような印象を受けてしまいます。
①ミイラのケースで、顎の骨折を見落とし、死因を自然死と判定した。
②バスタブでふやけた遺体の感電の痕跡を見落とし、死因を恋の病と判定した。
③新薬研究の被検体となり仮死状態になった男を、死亡と判定した。
先述したマックとホークス先生との対立を煽ったのも彼女です。良好だったふたりの仲を裂いた疫病神、とも見えます。にもかかわらずその後のシーンで、「オフィスで」マックにべったりとしなだれかかり、視聴者に不快感を与えました。
マックが、自分が検挙した悪徳警官から得た情報をもとに、シンクレアの政治的かけひきから逃れるエピソードでは、面会を申し出てきた警官に会うことを躊躇っていたマックに、会いに行くよう示唆したのがペイトンでしたが、本来ならこういうことはどう考えてもステラの役割です。マックとホークスの「仲を裂いた」ペイトンは、ここでもまた、ステラの「お株を奪って」視聴者に不快感を与えました。
なんかどうも全体的に、わざと好かれないような演出をしているようにしか思えない。しかも、最終話では、「オフィスでねっとりと」マックを口説いている最中に、CSIビルがテロの戦場となる(笑)。なんとその上、マックがテロリストと対決している緊迫したシーンで、マックの携帯を鳴らす(爆笑)。これはもう、わざとでしょう。ここまでやるとギャグですから。
案の定、不人気だったようで、シーズン4以降では出てこなくなるそうですが、だったらこのキャラ、一体何のために出したんだろ……。白木庵の心に大いなる謎を残してくれたのでした。
■CSI:NY/シーズン1
■CSI:NY/シーズン2
シーズンも3だというのに、全く衰えない面白さ(>_<)! 番組スタッフおよびキャストのみなさま、ほんとにどうもありがとう! DVD貸してくれたオトモダチの天使さま、ほんとにどうもありがとう!
シーズン3の特徴を挙げれば、以下のようになるかと存じます(順不同)。
①ホークス先生の描写が深化した!
②相変わらず続くステラいぢめ(涙)。
③ドンちゃん、なんだか、ものっそカッコイイ(≧▽≦)!
④ダニーがオトナだ。
⑤シド先生が、人間味を示し、単なる怪しいおぢさんから脱却。
⑥リンジーが丸すぎる件について。
⑦マック、一体どうしたの(汗)?
【シェルドン・ホークスとマック・テイラー】
今シーズンでは、ホークス先生が特に印象的でした。
1と2では傍観者的な立ち位置であることが多かったホークス先生の、ついに明かされるER時代の心の傷。古巣の病院との対立。そればかりか、逆恨みのターゲットにされ、命を狙われた挙句、冤罪をきせられるというドラマチックな展開まで用意されていて、ホークス先生、てんこ盛り!
中でも一番印象深かったのが、マックと対立するエピソードです。被害者と面識があったにもかかわらず、そのことをマックに告げずに捜査を続けてしまったホークス。しかもまずいことに、被害者から採取された証拠の中にあった電話番号は、ホークス自身のものだった……。という展開は、明らかにホークスの認識の甘さ、判断ミスですが、それに対するマックの対応がいかにもまずかった。ホークスを捜査からはずすのは当然としても、大勢の部下の前で感情も露わに怒鳴りつけるのは酷い。リンジーが一旦席をはずしかけたのを引き止めてまで、衆目の前で、ラボの秩序を乱すことはまかりならん、と鼻息の荒いマック。今までは、ホークス先生の検視官としてのキャリアを尊重し、上司とルーキーというより、対等に近いほどの丁重な接し方をしてきていたはずなのに……マック、一体、どうしちゃったの?
ストリクトさはマックの魅力です。ストリクトだからこそマック、と言ってもいいくらい。ダニーの暴走に対し、ダニー自身が見捨てられたと思うほどに冷たい態度で臨んだのも、エイデンの出来心に対しあくまで断固たる対応をしたのも、今回ホークス先生を捜査からはずしたのも、厳しすぎるとは思うけど、凛然と筋が通っていてマックらしいとは思います。
だけど、ストリクトさが魅力になるのは、自分自身に対しても厳しいときだけです。ひとには厳しく言うくせに、自分に対する基準が甘いのでは、単なるいばりんぼう。
実はマック、シーズン3ではどっぷりとオフィスラブにはまっています。
NYラボでは、オフィスラブは別に御法度ではないらしいけど、多くの組織で禁止されていることである以上、やっぱりそこには好ましくない側面があることは否めません。
オフィスにプライベートを持ち込み、冷静でいてほしい局面で感情的になってしまうようでは、せっかくシーズン2で力強くステラを励まし、ダニーをなぐさめ、ドンの命を救い、「真に頼れるチームリーダー」として脱皮したかに見えたのが台無しです。
そもそも、同僚と性的関係にあるという設定、マック・テイラーの魅力を感じさせるには、全く寄与していないように思えるので、一体なんでこういうことにしたのか、理解に苦しみます。
マックの「人間味」を出すための仕掛けなら、このシーズンには「クレアの遺児」という秀逸な隠し弾があるのですから、もっとそっちをつきつめればいいのに。亡くなった妻を今も尚愛し、恐らく終生愛し続けるであろうマック。そのマックの前に現れた、クレアが十代の妊娠で出産し、育てられずに養子に出した少年。片や最愛の妻、片やまだ見ぬ生みの母親。大事なひとを失ったふたりの心が、ぎこちなく寄り添っていく描写は、人間的で暖かく、若者と親しくなろうとするマックの不器用っぷりはすごくいいです。この子とマックの関係、単なる使い捨てのエピソードで終わらなければいいのだけど。
ところで、ホークス先生と「面識があった」被害者との関係ですが、これがまた、すっごくらしくていいのですよ。ホークスは別に彼女とおつきあいしてたわけじゃなく、偶然出会った時、たまたま彼女が落ち込んでいたので、純粋になぐさめてあげたくて電話番号を渡しただけなのです。そしてそのことをマックに言わなかったのは、無残なむくろを晒した被害者が、できれば彼女でなければいいのにと思ってしまった、繊細な心の揺らぎが原因でした。
ホークス先生、顔立ちがとっても端正ですから、飄々とおとぼけを演じる姿も味があるけど、やっぱりなんと言っても憂い顔が似合う(笑)。
【ドン・フラックとマック・テイラー】
今回はほんとにドンちゃんが色々とかっこよくて、もう、どうしようかと思いました(どうもしなくていいです)。防弾チョッキ着用の突入シーンのビジュアルのかっこよさももちろんですが、番組的には一番若造のくせに、刑事チームではチームリーダーであるドンちゃん! アダムとダニーが人質になったエピソードでは、顔色ひとつ変えず、犯人に自分との人質交換を申し出たりして、頼れる男の色香がプンプンです(笑)。
そして今回はドンちゃんもまたマックと対立してしまうのです。
大量に押収した麻薬の一部を着服した悪徳警官。その事実を隠蔽するため、新たに殺人を重ねたのはだれか。押収の際、現場を指揮したドンのメモには、その警官の名前が書かれていました。マックはそれをドンに要求したのです。
ドンの懸念は、それが仲間の警官を売る行為であるということではなく、その警官を逮捕することにより、その警官が逮捕した犯罪者たちが再審を請求し、無罪放免されることへの危機感でした。犯罪は犯罪、いかなる理由があろうと犯人を見逃すことはできない、とするマックの立場と、根本的に対立してしまったのですが、マック、ここでもドンちゃんに対するフォローが甘い……。ドンの立場や気持ちや現にその懸念が現実化してしまったことなどについて、あまり深く考えず、表面的な取り成しをしているだけのように見えてしまいます。ドンちゃんが言ってるのは、そういうことぢゃないでしょ、マック?
不幸にしてドンの懸念は現実化し、最悪の連続殺人鬼が釈放されてしまい、新たな犠牲者が出てしまいます。マックは当然自責の念がありますから、この犯人逮捕の際、私情に走り、チームとの連繋を怠り、単独で追い詰めた結果、犯人を死に至らしめてしまう。この行為が後に、NYPDの局長であるシンクレアの野望のために利用されることになり、マックを追い詰める結果にもなるのですが、それはともかく、このエピソードでも、マックが単独で犯人を追って飛び出したことに気づいた瞬間、行動に移ったドンが、あくまでマニュアル通りの手順を踏み、仲間に連絡の上協力を要請しながら適確に動いていた姿が、より鮮やかに印象づけられたのです。
ホークスにしてもダニーにしても、マックと対立することがあるとは言っても、そこはそれ、基本的にマックはボスですから、どこか遠慮があります。でもドンちゃんはマックの部下ではない。反発するにも反論するにも感情を爆発させるにしても、堂々と遠慮がなく、まっこうからがっぷりぶつかるので、観ていてほんとに気持ちがいいです。しかもその上、マックが暴走した際には、自分の上司にマックのことをとりなす余裕すら見せてくれちゃって、ほんと、警察の水に馴染んで人間関係うまいことやってるなぁ、と、あ、いや、カッコイイなぁ、オトナだなぁ、と思います(笑)。
幸せそうに押収品のチョコトルテを頬張ってる顔もかわいいけど、戦う男、ドン・フラック、有望株です、買い時です(笑)。
【ダニー・メッサーと擬態するイタリア男】
なんということでしょう、ダニーちゃんがとってもオトナなんですよ(笑)。あ、いや、実際子どもじゃないんだけど、でも、オトナではなかったよね、このひとは。
ホークス先生が陥れられた際に、チームメイトが容疑者となったため、捜査からはずされたにもかかわらず、勝手に目撃者を尋問するというちょっとした暴走を見せこそしましたが、リンジーとの仲がぎくしゃくしたときも、マックが危機に陥ったときも、マックとフラックが対立したときも、見事にオトナの態度をキープするダニー。特にリンジーを見守る際の男はつらいよっぷりは、確実に男をあげたと思います。
マックのオフィスラブには反感を感じるのに、ダニーとリンジーは応援したい気持ちになるのには、色々要因があるかと思います。まず大きいのは、マックとダニーの立場やキャラクターの違いでしょうし、リンジーとペイトンの好感度の差も大きいでしょう。でも、やっぱり一番の要因は、それぞれのカップルのプレゼンテーションのちがいだと思います。ダニーとリンジーのカップルは、その馴れ初めから、まるで中学生みたいにおずおずと初々しく惹かれあっていく過程を、じっくりじっくり描きこんでいったので、視聴者だって身近に寄り添って応援する気持ちになるわけです。ふたりの間にベイビーができ、正式に結婚することは知ってるけど、でも、心からふたりの幸せを願い、その関係から目が離せません。
ところで最終話ですが、ダニーはアダムと共に、IRAの活動資金となる大量の麻薬密売を目論んだ犯人グループによって、人質にとられてしまいます。その際犯人たちは、アダムの護衛につきそっていた制服警官は拘束したのに、「ヤワな科学捜査官」であるアダムとダニーは野放し状態で監視下に置きました。
ダニーの身体能力および戦闘能力の高さを知っている我々であれば、拘束するなら真っ先にダニー・メッサーの動きを封じると思うのだけど、犯人たちは、ダニーの外見に騙されてしまった(笑)。ただでさえ、金髪碧眼で小柄な眼鏡っこです。しかもその職業が「科学者さん」である捜査官なんですから、まさかこのちびっこが山猫なみの戦闘力を持っているとは夢にも思わない上に、このときのダニーの服装がズルイんですよ(笑)。擬態するイタリア男というのは、そのこと。
ダニーは日ごろ、シャツなら張りのある生地のものをパリッと着ているし、もっとラフな服装のときは、身体の線がはっきりとわかる(ということは、たくましい肩や二の腕が意識される)服を着ているのに、この日に限り、柔らかい生地でややオーバーサイズの白いシャツの腕をまくり、パンツにインせずにルーズに着こなしているのであります。この格好は、身体つきを華奢に見せる着こなしテクニックの総決算のようなもの。こんな服装で現れられては、犯人グループとしても、ひ弱なお嬢ちゃんと判断してしまってもやむを得ないというものです。おかげでものすごい反撃をくらってしまいましたが(笑)。
シーズン3ではカケラも触れられなかったのですが、ダニーのお兄ちゃんのルイはどうなったんでしょうね……。仮に亡くなったとしたら、ドラマ的にすごい盛り上がれるエピソードのはずだから、番組的にスルーするはずがないと思うので、まだ意識不明のままなんだと思うのだけど、ちょっとは言及してほしいです、心配だもの……。
【アンナ・ベルナップ】
リンジーじゃなくて、中のひとについてです。
リンジーには何も含むところはないのですが、中のひとは、どうなんだろ、同じドラマのシーズン中に、二回も妊娠するなんて……。
よく知りませんけど、ドラマのレギュラー契約って、ちょっと体重が変わっても契約違反に問われかねないような、かなり厳しいものなんじゃないですか? 特殊なケースかもしれないけど、プリンセス・テンコーなんて、髪型変えただけで契約違反に問われたって言うでしょ?
10年20年契約というのでもあるまいし、病気や怪我ならともかく、妊娠という(ある程度)自らの意志でコントロールできることで番組に迷惑をかけて、それが二度までも許されてしまうなんて、ちょっと不思議に思われます。リンジー、よっぽど人気なのかな。それとも、ベルナップには強力な後ろ盾とかがいるのかな(汗)。
それにしても、ベルナップの妊娠を居直ってドラマの中にとりこんだシーズン5とは違い、あくまで誤魔化し通したシーズン3では、カメラさんの苦労に泣きました(笑)。極力お腹が目立たないように配慮した、匠の技的カメラアングル(>_<)!
しかしあの顔のまんまるっぷりは、せっかくの「お腹を目立たせない配慮」も無にしかねない、テレビに出る女優さんとしてはギリギリの瀬戸際でした(っていうか、瀬戸際越えてたと思うんだけど(汗))。でも、最終話のベッドシーンでは、元に戻っててよかったぁ(笑)。あのシーンのリンジー、ほんと綺麗でしたねぇv
【ペイトン・ドリスコル】
わたしはペイトンが好きではありませんので、バイアスのかかった見方ですが、番組の流れそのものも、ペイトンに好意的ではなかったような気がしてなりません。
まずその登場の仕方からして、番組の主役であるマックのファンを敵に回すようなやり方です。本気で彼女の存在を視聴者に受け入れさせたいと思うのなら、そもそも「マックのパートナーとして不足のない女性」ということをじっくりと浸透させるようなアプローチこそが正道だと思うのに、どういう計算の結果なのか、いきなり情事の場面から始めて、マックファンの神経を逆撫でし、続く「仕事」の場面でも、情事のシーンはあっても決して現場にはひきずらなかったステラとは大違いで、ねっとりと思わせぶりな視線をマックに注ぎ、「オフィスラブ」という言葉の淫靡な局面ばかりを際立たせるような演出です。
しばらく大学で教えていた彼女が古巣に戻ってきた理由というのが、「教職って、ルーティンワークだから」。この発言ひとつで、真剣に教育に取り組んでいる世界中の教育者を敵に回したと思います。こんな悪意あるプロフィール紹介の仕方も珍しい。
シーズン3では、いかに有能な検視官でも判断を誤って仕方のない難しいケースもある、という事例がいくつか出てきます。客観的に観れば、判断ミスと言うのは気の毒すぎるケースですが、それらが全て彼女に集中したとあれば、どうしても検視官としてはあまり有能ではないような印象を受けてしまいます。
①ミイラのケースで、顎の骨折を見落とし、死因を自然死と判定した。
②バスタブでふやけた遺体の感電の痕跡を見落とし、死因を恋の病と判定した。
③新薬研究の被検体となり仮死状態になった男を、死亡と判定した。
先述したマックとホークス先生との対立を煽ったのも彼女です。良好だったふたりの仲を裂いた疫病神、とも見えます。にもかかわらずその後のシーンで、「オフィスで」マックにべったりとしなだれかかり、視聴者に不快感を与えました。
マックが、自分が検挙した悪徳警官から得た情報をもとに、シンクレアの政治的かけひきから逃れるエピソードでは、面会を申し出てきた警官に会うことを躊躇っていたマックに、会いに行くよう示唆したのがペイトンでしたが、本来ならこういうことはどう考えてもステラの役割です。マックとホークスの「仲を裂いた」ペイトンは、ここでもまた、ステラの「お株を奪って」視聴者に不快感を与えました。
なんかどうも全体的に、わざと好かれないような演出をしているようにしか思えない。しかも、最終話では、「オフィスでねっとりと」マックを口説いている最中に、CSIビルがテロの戦場となる(笑)。なんとその上、マックがテロリストと対決している緊迫したシーンで、マックの携帯を鳴らす(爆笑)。これはもう、わざとでしょう。ここまでやるとギャグですから。
案の定、不人気だったようで、シーズン4以降では出てこなくなるそうですが、だったらこのキャラ、一体何のために出したんだろ……。白木庵の心に大いなる謎を残してくれたのでした。
by shirakian
| 2009-04-30 21:13
| 海外ドラマ