2009年 01月 20日
【海外ドラマ】炎の英雄シャープ #11 英雄譚の真実
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冴えない会計士か、はたまた美化したアンディ・ガルシアか(ガルシア、ごめん)。変幻自在のマーク・ストロングの実態をつかむため、フィルモグラフィーなんぞをチェックしておりましたところ、ストロング氏、なんとシャープシリーズに出演していることが発覚いたしました。スクープ!(違います)。
シャープシリーズというのは、バーナード・コーンウェルの原作をBBCでテレビドラマにしたもので、1993年から1997年にかけて全14本が放映され、イギリスでは平均視聴占有率47%を記録、全世界50ヶ国以上で放映された人気シリーズ、であります。
主演は、ショーン・ビーン!
ショーン・ビーンのスターオーラ(というか、アイドルオーラかな(笑))を楽しみたいなら、文句ナシにこれ! もう、ほんっと、キラッキラしてますから(笑)!
時は19世紀初頭、ナポレオン戦争真っ盛りのイギリスには、徴兵制がなく、すべて志願兵だったのですが、志願兵といっても、名誉を求めた貴族階級の士官と、食い詰めた犯罪者の溜まり場であった兵卒との両極端。リチャード・シャープは、父親のわからない娼婦の息子という典型的下層階級出身、盗み以外にたつきの術がなく、ついには人を殺して16歳で逃げるように入隊してきた札付きでしたが、その聡明さと有能さと運のよさにより、本来貴族階級の独占市場であったはずの士官に就任してしまいます。庶民出身の士官という難しい立場の中で、次々に難題をクリアして出世を重ねていくリチャード・シャープ。この物語は、シャープとその部下である「選ばれし男たち」の活躍を描いたもの♪
中年男の起死回生ヒーローもいいし、老いてなお意気盛んなヒーローもいいし、それぞれに、みんなちがってみんなよい、とは思いますが、やっぱり活劇のヒーローは、若くて美しくて身体の動きにキレがある俳優さんがやるのが一番ふさわしいのだと思います。そんな意味で、90年代のショーン・ビーンとリチャード・シャープというキャラクターは、かれにとっても視聴者にとっても、実に実に幸福な出会いを果たしたというべきで、この上なくカッコヨクてセクシーですてきなヒーローなんでありますが、10年後、21世紀に新たに作られた2作品は、(わたし個人に限って言えば)なんだが食指が動かないのです(よって未見。観れば観たで、またちがった感想もあるかとは思います)。
や、なにも、年取ってショーン・ビーンの魅力が失われた、とかそんなことを言っているんじゃありませんよ? イギリスの(というか、ヨーロッパの、というべきか)俳優さんには、ハリウッドスターにありがちな、なにがなんでも若さにしがみつかねば! という強迫観念が感じられません。ストイックにフィットネスに励むより、ガーデニングやってる方が楽しいよね、というスタンスのもとに、ショーン・ビーン氏もナチュラルにまろやかに年を重ねていて、その年相応の魅力をもってしか演じられない役を演じるかれは、もちろん大変魅力的なのであります。
だから、それとこれとは別問題として、シャープシリーズのショーンはとにかくカッコイイんだよ! というのが結論です(笑)。
えっと、そういうわけで、マーク・ストロング氏なんでありますが。
正直言って、シャープシリーズというのは、話によってはかなり微妙なストーリーのときもあるんですけど、この『英雄譚の真実』はなかなか面白い筋立てで、ストロングのキャラクターもとても面白かったです。
ストロング演じるブランド大佐は、シャープのアイドルでありました。というのは、物語の3年前、ブランドはカエル野郎ことフランス軍に捕まった友軍兵士を、シャープの目の前で救い出すという英雄的行為をやってのけてみせたからです。これに感激したシャープの熱のこもったレポートにより、当時少佐だったブランドは、英国の英雄として出世を重ね、いまでは大佐になっているという次第。
この話の時点でシャープは結婚してるんですけど、そのヨメというのが見栄はりで強欲な中身のない女で、どうしてこんな女にひっかかるんだ、と情けなくなるような女だったわけで、そればかりかショーン・ビーンは、実生活でもこの同じ女にひっかかり……いや、それはもう、過ぎたことですが。
というわけで、ヨメが殊更ありがたがる芸術だの詩だのマナーだの、そんなことにウンザリしていた矢先だっただけに、軍人としての矜持を貫くブランドの姿は、シャープの目には、益々かっこよく頼もしく映るのであった(笑)。
しかし結局このブランド、フランス軍と通じてでっちあげた数々の「英雄行為」によってのしあがってきた冷酷非情な殺し屋だったことが判明。そこでシャープのくだした判断は? さまざまな状況証拠からブランドの犯罪に気づき、それを暴く手腕も鮮やかな、シャープという下層階級出身将校の、並でない頭のよさが際立つのであります。
ミステリー風のストーリーの運びもスマートだし、レギュラーキャラのそれぞれにちゃんと見せ場が用意されているのも心憎いし、シャープとヨメの間に割ってはいる当て馬キャラかに見えたガゼット紙(だったかな?)のシェリントン記者の存在も、ブランドの犯罪を立証する一助となっているし、フランス軍のおとぼけ将校連中のキャラもおかしいし、テレビドラマにしては頑張ってる大規模な戦闘シーン……は、ええと、ちょっとショボイけど、規模はショボイながらも、その戦闘シーンの中での個々の兵士の活躍はかっこいいし(特にシャープの身ごなしにはホレボレしますです)、とても楽しめる一作です。
で、マーク・ストロング、シャープのあこがれのまなざしに恥じない、いかにも凛々しい士官を演じております。長身で足長のナイスプロポーションは『ワールド・オブ・ライズ』のハニ・サラームそのものだし、鋭い眼光もニヒルなものごしもカッコイイ。……ただ、髪の毛は、ないのね(笑)。やっぱ、ハニ・サラームと同一人物だとは、気づかないんじゃないかな……。
シャープシリーズというのは、バーナード・コーンウェルの原作をBBCでテレビドラマにしたもので、1993年から1997年にかけて全14本が放映され、イギリスでは平均視聴占有率47%を記録、全世界50ヶ国以上で放映された人気シリーズ、であります。
主演は、ショーン・ビーン!
ショーン・ビーンのスターオーラ(というか、アイドルオーラかな(笑))を楽しみたいなら、文句ナシにこれ! もう、ほんっと、キラッキラしてますから(笑)!
時は19世紀初頭、ナポレオン戦争真っ盛りのイギリスには、徴兵制がなく、すべて志願兵だったのですが、志願兵といっても、名誉を求めた貴族階級の士官と、食い詰めた犯罪者の溜まり場であった兵卒との両極端。リチャード・シャープは、父親のわからない娼婦の息子という典型的下層階級出身、盗み以外にたつきの術がなく、ついには人を殺して16歳で逃げるように入隊してきた札付きでしたが、その聡明さと有能さと運のよさにより、本来貴族階級の独占市場であったはずの士官に就任してしまいます。庶民出身の士官という難しい立場の中で、次々に難題をクリアして出世を重ねていくリチャード・シャープ。この物語は、シャープとその部下である「選ばれし男たち」の活躍を描いたもの♪
中年男の起死回生ヒーローもいいし、老いてなお意気盛んなヒーローもいいし、それぞれに、みんなちがってみんなよい、とは思いますが、やっぱり活劇のヒーローは、若くて美しくて身体の動きにキレがある俳優さんがやるのが一番ふさわしいのだと思います。そんな意味で、90年代のショーン・ビーンとリチャード・シャープというキャラクターは、かれにとっても視聴者にとっても、実に実に幸福な出会いを果たしたというべきで、この上なくカッコヨクてセクシーですてきなヒーローなんでありますが、10年後、21世紀に新たに作られた2作品は、(わたし個人に限って言えば)なんだが食指が動かないのです(よって未見。観れば観たで、またちがった感想もあるかとは思います)。
や、なにも、年取ってショーン・ビーンの魅力が失われた、とかそんなことを言っているんじゃありませんよ? イギリスの(というか、ヨーロッパの、というべきか)俳優さんには、ハリウッドスターにありがちな、なにがなんでも若さにしがみつかねば! という強迫観念が感じられません。ストイックにフィットネスに励むより、ガーデニングやってる方が楽しいよね、というスタンスのもとに、ショーン・ビーン氏もナチュラルにまろやかに年を重ねていて、その年相応の魅力をもってしか演じられない役を演じるかれは、もちろん大変魅力的なのであります。
だから、それとこれとは別問題として、シャープシリーズのショーンはとにかくカッコイイんだよ! というのが結論です(笑)。
えっと、そういうわけで、マーク・ストロング氏なんでありますが。
正直言って、シャープシリーズというのは、話によってはかなり微妙なストーリーのときもあるんですけど、この『英雄譚の真実』はなかなか面白い筋立てで、ストロングのキャラクターもとても面白かったです。
ストロング演じるブランド大佐は、シャープのアイドルでありました。というのは、物語の3年前、ブランドはカエル野郎ことフランス軍に捕まった友軍兵士を、シャープの目の前で救い出すという英雄的行為をやってのけてみせたからです。これに感激したシャープの熱のこもったレポートにより、当時少佐だったブランドは、英国の英雄として出世を重ね、いまでは大佐になっているという次第。
この話の時点でシャープは結婚してるんですけど、そのヨメというのが見栄はりで強欲な中身のない女で、どうしてこんな女にひっかかるんだ、と情けなくなるような女だったわけで、そればかりかショーン・ビーンは、実生活でもこの同じ女にひっかかり……いや、それはもう、過ぎたことですが。
というわけで、ヨメが殊更ありがたがる芸術だの詩だのマナーだの、そんなことにウンザリしていた矢先だっただけに、軍人としての矜持を貫くブランドの姿は、シャープの目には、益々かっこよく頼もしく映るのであった(笑)。
しかし結局このブランド、フランス軍と通じてでっちあげた数々の「英雄行為」によってのしあがってきた冷酷非情な殺し屋だったことが判明。そこでシャープのくだした判断は? さまざまな状況証拠からブランドの犯罪に気づき、それを暴く手腕も鮮やかな、シャープという下層階級出身将校の、並でない頭のよさが際立つのであります。
ミステリー風のストーリーの運びもスマートだし、レギュラーキャラのそれぞれにちゃんと見せ場が用意されているのも心憎いし、シャープとヨメの間に割ってはいる当て馬キャラかに見えたガゼット紙(だったかな?)のシェリントン記者の存在も、ブランドの犯罪を立証する一助となっているし、フランス軍のおとぼけ将校連中のキャラもおかしいし、テレビドラマにしては頑張ってる大規模な戦闘シーン……は、ええと、ちょっとショボイけど、規模はショボイながらも、その戦闘シーンの中での個々の兵士の活躍はかっこいいし(特にシャープの身ごなしにはホレボレしますです)、とても楽しめる一作です。
で、マーク・ストロング、シャープのあこがれのまなざしに恥じない、いかにも凛々しい士官を演じております。長身で足長のナイスプロポーションは『ワールド・オブ・ライズ』のハニ・サラームそのものだし、鋭い眼光もニヒルなものごしもカッコイイ。……ただ、髪の毛は、ないのね(笑)。やっぱ、ハニ・サラームと同一人物だとは、気づかないんじゃないかな……。
by shirakian
| 2009-01-20 21:22
| 海外ドラマ