2008年 09月 03日
ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
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この映画、予告編を観たときから早く観たくてたまらなかったんですが、ようやく観ることができて、ん、もーう、満足(笑)。すっごく面白かったです♪
サイモン・ペッグ演じるニコラス・エンジェルは、検挙率№1を誇るロンドン警察の超優秀な巡査。だけど、あまりの優秀さが禍し、上司同僚の嫉妬を招いて、哀れ田舎に左遷の身に。新しい赴任地は、何度もビレッジ・オブ・ザ・イヤーに選ばれている美しいのどかな村。事件と言えば、白鳥が逃げ出したことくらい? ところが、のどかなはずの村で、次々と起こる不審死。どう見ても事件性が匂うのに、村人たちは全て事故だと気にとめるようすもない。これって一体!?
ストーリー自体が十分面白いんですが、演出がまた、ブリティッシュなコメディで、お腹抱えます(笑)。特に、冒頭のロンドンのシーンは、爆笑もの。警察本部長役のビル・ナイなんて、出てくるだけで、おかしいんだもの(>_<)。
エンジェルというおまわりさんは、頭が固くて融通がきかないひとで、左遷人事に対して憤ってくれる同僚のひとりもいない、婚約してた相手には逃げられる(逃げられそうだと察知して自分から別れを切り出す)、恐らく友だちなんかひとりもいないんだろうなぁ、と思える人物なんですが、少なくとも「鼻持ちならないエリート」というタイプではなく、見ていて段々共感を覚えていけるキャラクター造形。これがとてもいいです。
なので、田舎町サンドフォード警察でバディを組むことになった、「気のいいおデブ」キャラのダニー・バターマンことニック・フロストとの間に、友情が育っていく過程が、ストーリーとは別に、ひとつの見所となっています。なんていうか、よかったねぇ、ニコラス、友だちができて! と祝福&応援したくなる気持ち。
ニック・フロストの「気のいいおデブ」キャラぶりが、ベタと言えばベタなんだけど、ほんとに憎めない好人物に仕上がってて、こういうベタは、ベタはベタでも王道のベタ。 警察ものの映画オタクという設定が効いてて、好きな映画が『ハートブルー』というのが渋い(笑)。この設定がしっかり生かされているのも楽しいです。
ネタが生かされているのは『ハートブルー』に限ったことではなく、白鳥ネタが最後までちゃんと温存されることを筆頭に、ちょっとした無意味な会話の切れ端に思えたものまできちんとネタの回収がなされているのは脱帽です。こういう脚本はほんとに気持ちがいいです。
一見穏やかな村が、実は犯罪の温床だった、温厚そうな村人たちが、実は凶悪な殺人者だった、という展開は、なんとなくアガサ・クリスティを思わせます(イギリスの田舎が舞台の犯罪ものって、どれもみんなクリスティっぽい感じがするものだけど(笑))。ジジババがやたら元気で、銃をぶっぱなして暴れる絵面は、ブラックだけど爽快感があってヨシ(笑)。
一見、土地開発にからんだ如何にもそれらしい犯罪に思えた殺人も、実は単に「気に食わないやつだったから」という理由づけも、ブラックだけどなんだか納得できちゃうところが怖いです(笑)。
あと、一見ジェームス・ボンドに見えるティモシー・ダルトンが、実は犯罪者の一味だったとか(笑)。
ただ、一見……と見えて実は……、というギャップを楽しむのなら、逆のギャップもあってよかったのに、と思いました。一見だらけきった無能な連中の寄せ集めに過ぎないように見えてたサンドフォード署の刑事や警官たちが、それぞれ凄い特技の持ち主だった、というような。
エンジェルが単身闘いに戻ってきた後、かれらと共闘する際に、エンジェル個人の活躍というのは、いままでに散々観てきたわけだから、ここはかれらに譲って、アクションシーンはあのひとたちにもっと花を持たせてもよかったのになぁ、と思いました。特にアンデス刑事たちが、やるときゃやる! の射撃の名人だったりしたら燃えたのになぁ、とか、あの、バカにしか見えなかった婦警さん(という言い方は、エンジェル巡査に言わせるとセクハラに当たる(笑))が、実はカンフーの名人だったとか(発想が貧困ですみません)。
それに、「この村に犯罪など存在しない」という風に洗脳されていたかれらが、エンジェル巡査の説得で、実態に気づく過程がかなり物足りない。あれしき言われたくらいで納得するなら、もっと早く気づいていただろうに、なんかもっとこう、ガツンと目覚める一発がほしかったかも。
……と、小さな瑕疵はあるのですが(瑕疵というか、単にわたしの好みの問題か)、総じてテンポよし、キャラよし、ギャグおかし、アクション小気味よし、意外性あり、しゃれっ気あり、人情味もあり、の非常に楽しい一本でした。
署名運動して、日本で公開できるようにしてくださったみなさま、ほんとにどうもありがとうv
この映画とは全然関係ないですが、『ハートブルー』の主演(?)だったパトリック・スウェイジ氏、癌の治療中だそうで、気がかりですね。早く元気で復活できますように。
【追記】
スウェイジ氏、一時は余命数週間、とまで報道されてたけど、無事に生還なさったみたいです。最近の画像があがってましたが、かなり痩せてしまってたけど、とりあえず元気そうだったv よかったねぇ。
【追記2】
パトリック・スウェイジ氏は、約20ヶ月の闘病生活の末、2009年9月14日に膵臓癌でお亡くなりになりました。享年57歳。ご冥福をお祈り申し上げます。
サイモン・ペッグ演じるニコラス・エンジェルは、検挙率№1を誇るロンドン警察の超優秀な巡査。だけど、あまりの優秀さが禍し、上司同僚の嫉妬を招いて、哀れ田舎に左遷の身に。新しい赴任地は、何度もビレッジ・オブ・ザ・イヤーに選ばれている美しいのどかな村。事件と言えば、白鳥が逃げ出したことくらい? ところが、のどかなはずの村で、次々と起こる不審死。どう見ても事件性が匂うのに、村人たちは全て事故だと気にとめるようすもない。これって一体!?
ストーリー自体が十分面白いんですが、演出がまた、ブリティッシュなコメディで、お腹抱えます(笑)。特に、冒頭のロンドンのシーンは、爆笑もの。警察本部長役のビル・ナイなんて、出てくるだけで、おかしいんだもの(>_<)。
エンジェルというおまわりさんは、頭が固くて融通がきかないひとで、左遷人事に対して憤ってくれる同僚のひとりもいない、婚約してた相手には逃げられる(逃げられそうだと察知して自分から別れを切り出す)、恐らく友だちなんかひとりもいないんだろうなぁ、と思える人物なんですが、少なくとも「鼻持ちならないエリート」というタイプではなく、見ていて段々共感を覚えていけるキャラクター造形。これがとてもいいです。
なので、田舎町サンドフォード警察でバディを組むことになった、「気のいいおデブ」キャラのダニー・バターマンことニック・フロストとの間に、友情が育っていく過程が、ストーリーとは別に、ひとつの見所となっています。なんていうか、よかったねぇ、ニコラス、友だちができて! と祝福&応援したくなる気持ち。
ニック・フロストの「気のいいおデブ」キャラぶりが、ベタと言えばベタなんだけど、ほんとに憎めない好人物に仕上がってて、こういうベタは、ベタはベタでも王道のベタ。 警察ものの映画オタクという設定が効いてて、好きな映画が『ハートブルー』というのが渋い(笑)。この設定がしっかり生かされているのも楽しいです。
ネタが生かされているのは『ハートブルー』に限ったことではなく、白鳥ネタが最後までちゃんと温存されることを筆頭に、ちょっとした無意味な会話の切れ端に思えたものまできちんとネタの回収がなされているのは脱帽です。こういう脚本はほんとに気持ちがいいです。
一見穏やかな村が、実は犯罪の温床だった、温厚そうな村人たちが、実は凶悪な殺人者だった、という展開は、なんとなくアガサ・クリスティを思わせます(イギリスの田舎が舞台の犯罪ものって、どれもみんなクリスティっぽい感じがするものだけど(笑))。ジジババがやたら元気で、銃をぶっぱなして暴れる絵面は、ブラックだけど爽快感があってヨシ(笑)。
一見、土地開発にからんだ如何にもそれらしい犯罪に思えた殺人も、実は単に「気に食わないやつだったから」という理由づけも、ブラックだけどなんだか納得できちゃうところが怖いです(笑)。
あと、一見ジェームス・ボンドに見えるティモシー・ダルトンが、実は犯罪者の一味だったとか(笑)。
ただ、一見……と見えて実は……、というギャップを楽しむのなら、逆のギャップもあってよかったのに、と思いました。一見だらけきった無能な連中の寄せ集めに過ぎないように見えてたサンドフォード署の刑事や警官たちが、それぞれ凄い特技の持ち主だった、というような。
エンジェルが単身闘いに戻ってきた後、かれらと共闘する際に、エンジェル個人の活躍というのは、いままでに散々観てきたわけだから、ここはかれらに譲って、アクションシーンはあのひとたちにもっと花を持たせてもよかったのになぁ、と思いました。特にアンデス刑事たちが、やるときゃやる! の射撃の名人だったりしたら燃えたのになぁ、とか、あの、バカにしか見えなかった婦警さん(という言い方は、エンジェル巡査に言わせるとセクハラに当たる(笑))が、実はカンフーの名人だったとか(発想が貧困ですみません)。
それに、「この村に犯罪など存在しない」という風に洗脳されていたかれらが、エンジェル巡査の説得で、実態に気づく過程がかなり物足りない。あれしき言われたくらいで納得するなら、もっと早く気づいていただろうに、なんかもっとこう、ガツンと目覚める一発がほしかったかも。
……と、小さな瑕疵はあるのですが(瑕疵というか、単にわたしの好みの問題か)、総じてテンポよし、キャラよし、ギャグおかし、アクション小気味よし、意外性あり、しゃれっ気あり、人情味もあり、の非常に楽しい一本でした。
署名運動して、日本で公開できるようにしてくださったみなさま、ほんとにどうもありがとうv
この映画とは全然関係ないですが、『ハートブルー』の主演(?)だったパトリック・スウェイジ氏、癌の治療中だそうで、気がかりですね。早く元気で復活できますように。
【追記】
スウェイジ氏、一時は余命数週間、とまで報道されてたけど、無事に生還なさったみたいです。最近の画像があがってましたが、かなり痩せてしまってたけど、とりあえず元気そうだったv よかったねぇ。
【追記2】
パトリック・スウェイジ氏は、約20ヶ月の闘病生活の末、2009年9月14日に膵臓癌でお亡くなりになりました。享年57歳。ご冥福をお祈り申し上げます。
by shirakian
| 2008-09-03 21:51
| 映画は行