2015年 11月 26日
コードネーム U.N.C.L.E.
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★ネタバレ注意★
ガイ・リッチー監督のイギリス映画です。
原題は"THE MAN FROM U.N.C.L.E."。
60年代に一世を風靡したTVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイク作品ですが、テレビシリーズの方は断片的にしか知りません。ソロとイリヤ、それぞれが元CIAとKGBのエージェントだった、とかいうのも今回初めてほぉそういうことでしたか、と認識したくらいなので、オリジナルとのイメージの違いがどうこう、とかいう不満も感嘆もどっちも全くありません。なので普通に楽しんで観ました。
東西冷戦のさなかのヨーロッパ。本来敵対する立場の米ソ両国の諜報部が協力を余儀なくされる事態が発生した。ナチスの残党に核弾頭およびその設計図が渡ろうとしていたのだ。
というわけで、CIAとKGBがそれぞれ語学に長けた有能なエージェントを供出し、手を組んでミッションを行うことになり、それに東ドイツの物理学者の娘だの、イタリアの大富豪だの、裏で糸ひく英国情報部(ヒュー・グラントの食えなさ加減が最高)だのが絡むという王道スパイアクション。
時代設定を敢えてオリジナルと同じ60年代にもってきたのが功を奏して、ガイ・リッチー監督のスピーディでスタイリッシュな演出とも好相性、はまるべきピースがはまるべき場所にピタリと納まった的な快感があります。この素材とリッチー監督という巡り合わせ、監督本人にも観客にも幸運なマッチングだったと思います。
まずなんと言っても60年代のファッションとか風俗とかガジェットとかの描写が楽しい。特に事件に絡む物理学者の娘であったため協力することになった自動車整備士のギャビー(アリシア・ヴィカンダー)が、なんとなく若き日の加賀まりこ風のキュートさなんですが、このキュートなお嬢さんが当時の先端ファッションをとっかえひっかえしてくれるのが大変目の保養。
参考画像:若い頃の加賀まりこ。いや、そこは普通にアリシア・ヴィカンダーの画像貼ろうよ。
で、そのギャビーの衣装を見たてるのが、洒落もののアメリカ人ではなく、堅物KGBのイリヤの方、というのがまたおかしい。かれはあれで女性のファッションにはかなりの拘りがあるようです。カレシにすると面倒くさいタイプね。
そのイリヤ・クリヤキンを演じたアーミー・ハマーが大変コメディ・センスのあるひとだというのは過去作の『白雪姫と鏡の女王』なんかですでに証明済ですが、一方のナポレオン・ソロを演じたヘンリー・カヴィルというひとは、小粋とか気障とかを演じて寒くならない洗練された雰囲気がちゃんとあって、こちらもはまり役でした。イリヤもソロもそれぞれとっても愛嬌があって好ましいです。
面白かったシーンはやっぱ、ソロとイリヤ、ふたりでボートで逃走中に、ソロが振り落とされたことに気づかないイリヤを後目に、ちゃっかり安全圏に上陸したソロは、たまたま止めてあった他人の車に乗り込んで、たまたま置いてあったサンドイッチなんかを楽しんで高みの見物、しかしいよいよイリヤのボートが沈没するや、車ごと海に飛び込んでイリヤを救出する、という一連のシーンとかね。危機に際して慌てず騒がずいつも心に太陽を的ガロウズ・ユーモアの描写が効いてて、そこにリッチー監督の「スタイリッシュ」が綺麗にマッチして楽しい好シーンでした。
ソロとイリヤが正式に顔合わせをするシーンで、公園の池に面した小じゃれたカフェの小さなテーブルに、スパイとそれぞれの上司、大の男が四人膝すり合わせて座ってる絵柄自体も滑稽でナイスでしたが、一通りの説明が終わり、「それでは、あとは若いふたりで」と上司ふたりが席を立つと、カフェに居合わせていた全ての客たちが一斉に席を立つ(客の全員がそれぞれの情報機関の見張り要員だった)とかいうシーンも楽しかった。
あと、敵地に乗り込む際に、散らばって侵入する突撃部隊の動きを分割画面で描写する演出なんかも、無駄にモタモタ時間をくわずにすむのみならず、コミックブックのコマワリを意識した楽しさがあって、60年代の演出に対するオマージュであると同時に、新しい「かっこよさ」を創出するのに成功していたシーンだと思います。
そうそう、そう言えば、サッカーのベッカムが出てましたよ。KGBのブリーフィングのシーンで、イリヤに見せるスライドを映写する係。選手引退後はこんな仕事をしてらしたのね(違)。カメオみたいな役ですが、ベッカムとリッチー監督ってオトモダチなのかしら。
総じて、特にあれこれ語りたくなる映画というわけでもないんだけど、気持ちよく楽しく鑑賞できて、続編があるならモースト・ウェルカム!という観て損のない一本でした。
・コードネーム U.N.C.L.E.@ぴあ映画生活
ガイ・リッチー監督のイギリス映画です。
原題は"THE MAN FROM U.N.C.L.E."。
60年代に一世を風靡したTVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイク作品ですが、テレビシリーズの方は断片的にしか知りません。ソロとイリヤ、それぞれが元CIAとKGBのエージェントだった、とかいうのも今回初めてほぉそういうことでしたか、と認識したくらいなので、オリジナルとのイメージの違いがどうこう、とかいう不満も感嘆もどっちも全くありません。なので普通に楽しんで観ました。
東西冷戦のさなかのヨーロッパ。本来敵対する立場の米ソ両国の諜報部が協力を余儀なくされる事態が発生した。ナチスの残党に核弾頭およびその設計図が渡ろうとしていたのだ。
というわけで、CIAとKGBがそれぞれ語学に長けた有能なエージェントを供出し、手を組んでミッションを行うことになり、それに東ドイツの物理学者の娘だの、イタリアの大富豪だの、裏で糸ひく英国情報部(ヒュー・グラントの食えなさ加減が最高)だのが絡むという王道スパイアクション。
時代設定を敢えてオリジナルと同じ60年代にもってきたのが功を奏して、ガイ・リッチー監督のスピーディでスタイリッシュな演出とも好相性、はまるべきピースがはまるべき場所にピタリと納まった的な快感があります。この素材とリッチー監督という巡り合わせ、監督本人にも観客にも幸運なマッチングだったと思います。
まずなんと言っても60年代のファッションとか風俗とかガジェットとかの描写が楽しい。特に事件に絡む物理学者の娘であったため協力することになった自動車整備士のギャビー(アリシア・ヴィカンダー)が、なんとなく若き日の加賀まりこ風のキュートさなんですが、このキュートなお嬢さんが当時の先端ファッションをとっかえひっかえしてくれるのが大変目の保養。
で、そのギャビーの衣装を見たてるのが、洒落もののアメリカ人ではなく、堅物KGBのイリヤの方、というのがまたおかしい。かれはあれで女性のファッションにはかなりの拘りがあるようです。カレシにすると面倒くさいタイプね。
そのイリヤ・クリヤキンを演じたアーミー・ハマーが大変コメディ・センスのあるひとだというのは過去作の『白雪姫と鏡の女王』なんかですでに証明済ですが、一方のナポレオン・ソロを演じたヘンリー・カヴィルというひとは、小粋とか気障とかを演じて寒くならない洗練された雰囲気がちゃんとあって、こちらもはまり役でした。イリヤもソロもそれぞれとっても愛嬌があって好ましいです。
面白かったシーンはやっぱ、ソロとイリヤ、ふたりでボートで逃走中に、ソロが振り落とされたことに気づかないイリヤを後目に、ちゃっかり安全圏に上陸したソロは、たまたま止めてあった他人の車に乗り込んで、たまたま置いてあったサンドイッチなんかを楽しんで高みの見物、しかしいよいよイリヤのボートが沈没するや、車ごと海に飛び込んでイリヤを救出する、という一連のシーンとかね。危機に際して慌てず騒がずいつも心に太陽を的ガロウズ・ユーモアの描写が効いてて、そこにリッチー監督の「スタイリッシュ」が綺麗にマッチして楽しい好シーンでした。
ソロとイリヤが正式に顔合わせをするシーンで、公園の池に面した小じゃれたカフェの小さなテーブルに、スパイとそれぞれの上司、大の男が四人膝すり合わせて座ってる絵柄自体も滑稽でナイスでしたが、一通りの説明が終わり、「それでは、あとは若いふたりで」と上司ふたりが席を立つと、カフェに居合わせていた全ての客たちが一斉に席を立つ(客の全員がそれぞれの情報機関の見張り要員だった)とかいうシーンも楽しかった。
あと、敵地に乗り込む際に、散らばって侵入する突撃部隊の動きを分割画面で描写する演出なんかも、無駄にモタモタ時間をくわずにすむのみならず、コミックブックのコマワリを意識した楽しさがあって、60年代の演出に対するオマージュであると同時に、新しい「かっこよさ」を創出するのに成功していたシーンだと思います。
そうそう、そう言えば、サッカーのベッカムが出てましたよ。KGBのブリーフィングのシーンで、イリヤに見せるスライドを映写する係。選手引退後はこんな仕事をしてらしたのね(違)。カメオみたいな役ですが、ベッカムとリッチー監督ってオトモダチなのかしら。
総じて、特にあれこれ語りたくなる映画というわけでもないんだけど、気持ちよく楽しく鑑賞できて、続編があるならモースト・ウェルカム!という観て損のない一本でした。
・コードネーム U.N.C.L.E.@ぴあ映画生活
by shirakian
| 2015-11-26 18:45
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