2014年 06月 28日
【海外ドラマ】クローザー/シーズン7
|
★ネタバレ注意★
■クローザー/シーズン1
■クローザー/シーズン2
■クローザー/シーズン3
■クローザー/シーズン4
■クローザー/シーズン5
■クローザー/シーズン6
クローザーもついにファイナルシーズンとなってしまいました(>_<)。
シーズンしょっぱなから、就任したばっかりのデレク本部長がいきなり動脈瘤破裂で突然死、交通課にまわされるはずだったポープが起死回生の返り咲きをする一方で、ついに副本部長の椅子をゲットだぜ! と浮かれていたテイラーは再び専用オフィスすらない冷や飯食いの身に転落、という波乱の幕開けとなりました。
テイラー、今シーズンもいい味出してくれました☆ やっぱあの衣装最高! 南洋の小鳥のようにカラフルでラブリーだ(笑)。テイラーに限らず、重大犯罪課のファッションはチーフのブレンダはじめ、リアリティよりエンタメを意識したラインナップなのでとても警官とは思えないひとが多いですけれども。ガブリエルはモデルさんみたいだし、フリンのパステルトーンもかわいい☆ フリンって、お酒飲めないからオシャレに凝るのかな。私生活ではあれでなかなかモテモテなんじゃないかな。
今シーズンで印象的だったゲストキャラは、バズの妹とブレンダの弁護士さん。
バズの妹ケーシーは、シアトルの気象予報士。お天気お姉さんですね。演じるはクリスティン・ウッズ。白状すると、わたし未だにクリスティン・ウッズとロビン・タニーの見分けがつきません。や、たぶん二人並べたら間違わないと思うのだけど、どうも頭の中でごっちゃになっちゃう。えっとね、『プリズン・ブレイク』でリンカーンのために戦ってくれた弁護士さんがロビンで、『ハウス』のペイシェント・ゼロがクリスティン、『フラッシュフォワード』の連邦捜査官もクリスティンで、『メンタリスト』でサイモン・ベイカーに悩まされているのはロビンよ。おさらいしないとこんがらがるのよ。
重大犯罪課はガブリエルがイケメン代表なので霞んでしまいがちですが、よく見るとバズだって実は結構ハンサムさん。妹がSHB(スモーキンホットベイブ)のクリスティン・ウッズだって何の不思議もないのです。で、重大犯罪課の面々、サンチェスはもちろんのこと、本部長に(仮)就任したポープまでもが綺麗なお天気お姉さんにデレデレです。仕事そっちのけで鼻の下のばしてます。エピソードもサンタがらみの割とリラックスしたものだったので、箸休めみたいな回でした。
というのも、さすがファイナルシーズンともなれば緊張感は高く、そういうホッコリ系のエピソードが不可欠だったのです。それを象徴するキャラがブレンダの弁護士ギャビン。演じるはマーク・ペルグリノ。どっかで見たことのあるひとだなぁと気になってフィルモグラフィを調べてみれば、それもそのはず、わたしが見たことのあるテレビシリーズに限っても10タイトル以上がヒットしました。っていうことは、わたしが見た海外ドラマのほとんど全部に出ていたと言っても過言ではないということね。色んな番組からひっぱりだこの役者さんなんだね。存在感があると同時に器用なひとでもあるんだろうね。
で、なぜブレンダに弁護士さんが必要だったのか、という話になるのですが。
実はブレンダ、過去の事件捜査の手口を巡って訴訟を起こされてしまうのです。治安の悪い地区にあるコンビニが地元のギャングに襲われ、店主と幼い孫が殺されたニュートン事件。ブレンダは犯人のタレル・ベイラーを逮捕したものの、検察との取引のために裁判に持ち込み有罪にすることができなかった。そこでタレルを本人の希望のままに自宅に送って行ったのですが、その直後、タレルの裏切りに激怒した(コンビニ店主は地元では人望の篤い人物だった)ギャング仲間から撲殺されてしまった。このタレルの遺族がブレンダ及び市警察当局を、タレルの身に危険があることを知りながらその保護を怠ったとして告訴したのです。
その際、タレルを送る車に同乗していたのはブレンダ、サンチェス、ガブリエルの三人でした。危険とわかっている通りでタレルを下ろすことについて、サンチェスはギャングの潰しあいなんぞ自業自得、因果応報、自己責任の極致! とびくともしませんでしたが、まだ経験が浅く、エリート教育を受けた(ということは人権意識の高い)ガブリエルは、ブレンダのやりように不安を感じてしまう。そのことが訴訟の流れ全体に影を落とすことになるのです。
我々視聴者も、あのときのブレンダのやりようをリアルタイムで見ていたわけですが、果たしてそのとき何を感じていただろう? 殺人犯が相応の制裁を受けることに対して単純に溜飲を下げただろうか? ガブリエルのように不安を感じただろうか?
ファイナルシーズンは通常通り一話完結のドラマが描かれるのと並行して、このタレルの問題(及びそこから派生するブレンダの仕事全般に関する訴訟問題)が描かれていきます。つまり、「ブレンダ方式」の是非を問う流れになっているのです。
犯人に何らかの制裁が与えられるというのは、犯罪捜査ドラマでは必要なことですし、ブレンダのゴーイングマイウェイキャラだってそうした流れの上で造形されていたはずです。ブレンダの武器は尋問。尋問で自白を引き出すためなら容疑者を罠にはめたり嘘をついたりはお手の物。上司のポープだろうが検察だろうがFBIだろうが利用できるものは全部利用するのがブレンダのやり方。番組的にはそれでオッケーだったはず。だってそれがブレンダなんだから。
だからブレンダ自身、最初に告訴された時点では、「自分は何も悪いことはしていない」と頑なな態度をとるのですが、内部捜査官としての立場から事の推移にかかわることになったレイダーに諭され、自分のしてしまったことについて初めて本気で疑問を持つことになります。犯罪を憎むと言いながらその実、自分は恐ろしいことをしでかしてしまったのではないか?
そんなブレンダとは対照的に、サンチェスはあくまでぶれない。タレルをあそこで下したのがまずかったというのなら、かれを保護し、増長させ、再び犯罪を犯させるべきだったのか? 新たな被害者を作るべきだったのか? そうしたら今度は被害者の遺族に訴訟を起こされることになっていたかもしれないのに? チーフ、われわれは何も間違ったことなんかしちゃいません。犯罪者を捕まえるのが我々の仕事。犯罪の撲滅が我々の目標。そのために我々は日々必死に働いている。何も引け目を感じることなんかありません。
サンチェスの主張は、(実弟をギャングに殺されたことがある)サンチェスの来歴を思えば当然のことで、ぶれないサンチェスは頼もしい。事実ブレンダだって、些末なことにとらわれず、ある意味奔放な捜査を行ってきたからこそ、今まで「クローザー」として数々の難事件を鮮やかに解決してきたわけで、あれだけの仕事はブレンダでなければできなかったし、ブレンダのやり方でなければできなかった。
だけど、ここで本当に問われていたのは、モラリティとかプロトコルとかきちんと手続きを踏むとか公私混同しないとか、そうした狭義の意味でのケジメではなく、ブレンダの「傲慢さ」だったんじゃないか。いつしかブレンダは、己がクローザーであることに胡坐をかいてしまっていたのではないか。
今シーズンもまた、ブレンダのために耐えがたきを耐え忍びがたきを忍んで東奔西走するフリッツの姿は感動的だったのですが、そうしたフリッツの姿を見ると、もしかしたらこの関係って、いつかは壊れてしまうんじゃないかという不安を感じさせられてしまったのです。いつかフリッツが臨界点を超えてしまったとき、ブレンダはフリッツに去られてしまうんじゃないだろうか。
というのも、相変わらずブレンダとフリッツの関係がイーブンには思えなかったからです。今まではブレンダに惚れてるゆえのフリッツの自己犠牲って、場をなごませる笑いの要因として見てこれたけど、問題がブレンダの傲慢さであるのなら、そうも言ってはいられない。果たしてどれほどブレンダはフリッツを気遣っているだろうか、フリッツを見ているだろうか、フリッツの声を聴いているだろうか? 惚れた弱みにつけこんで、フリッツを利用することばかりが巧みで、フリッツに譲歩や我慢を強いてばかりいたんじゃないか?
わたしは重要な仕事をしているんだ、という傲慢な深層心理が、ブレンダの目を閉ざし、耳を閉ざし、事件以外の周りの人間に対するあってしかるべき気遣いをなくしてしまっていたんじゃないか。そんな態度が事件処理の仕方にも表れてしまっていたんじゃないか。他人をないがしろにしてはばからないブレンダの姿勢が、結局は母親の死を見過ごすという最悪の結果を招いてしまったんじゃないか。母親は何度も自分の体調について告げようとしていたのに、ブレンダは聞く耳持っちゃいなかった。だって「それどころじゃなかった」のだから。
そして確かにその時々で、ブレンダは抜き差しならない重要な仕事をしていたわけで、彼女の真摯な仕事ぶりをみてきた視聴者としては、ブレンダが母親や夫やその時々の仕事でかかわっている人々やそのほか周りいる人たちの話に耳を傾けなかったとしても、仕方がなかったんじゃないかと思えます。そのことでブレンダばかりを責めるのはあまりにフェアじゃない気がする。
だけどやっぱり、それでもやっぱり、ブレンダのしてきたことは、傲慢の誹りを免れないんじゃあるまいか。
今回の訴訟はいわばブレンダがしてきた仕事に対する全否定であるわけですから、ブレンダが苛立ち怒りポープに裏切られたと思いレイダーを疎ましく思う気持ちはわかる。だけど実際は、ポープがブレンダに厳しい態度をとったのは、正式に本部長に就任してしまえば、もはや身近でブレンダを守ることができなくなってしまうので、それまでになんとかしなければという親心から出たものであったし、レイダーにいたっては、ブレンダの心情を慮って内心激しく苦慮しつつもプロとして己の仕事を全うしただけだったわけです。そんなふたりにあんな態度をとるのはお門違いも甚だしい。
そしてまた、今回の経験を通じてブレンダが本当に自らのやり方を顧みて、本気で変わろうとしたのなら納得もいきますが、結局は容疑者を罠にはめるような際どい捜査のやりかたを変えようとしなかったし、自分のために私的にポープたちが協力することを当然とするダブスタや、個人的感情に任せて怒ったり泣いたりする態度もまた相変わらずだったのです。
そして結局、(形式はどうあれ実質的には)クビに近い形で重大犯罪課を去ることになってしまった。これで辞任後、たとえば警察学校で人権講座をもつとかいう立場になって、周りに目配りする時間や余裕を持つことになったのならまだしも、検事局の管理職という(恐らく多忙で重責のある)仕事を選んだのではたぶん、何も変わらない。ブレンダは生まれ変わるチャンスを逸したようにも思える。
型破りなやり方で見事に事件を解決する爽快さが身上だったはずの番組で、ヒロインを全否定する結果になってしまったなんて、とても残念な気がします。後続のスピンオフでブレンダの地位についたレイダー警部は、ブレンダとは真逆のやり方で仕事を進めるはずですから、その点でもまたブレンダの否定に繋がるように思えるし。そして果たしてレイダーのやり方で、面白い番組が作れるのかしら、という不安もあるよね。尤もレイダー警部のメイジャークライム、なかなか好評のようですが。
■クローザー/シーズン1
■クローザー/シーズン2
■クローザー/シーズン3
■クローザー/シーズン4
■クローザー/シーズン5
■クローザー/シーズン6
クローザーもついにファイナルシーズンとなってしまいました(>_<)。
シーズンしょっぱなから、就任したばっかりのデレク本部長がいきなり動脈瘤破裂で突然死、交通課にまわされるはずだったポープが起死回生の返り咲きをする一方で、ついに副本部長の椅子をゲットだぜ! と浮かれていたテイラーは再び専用オフィスすらない冷や飯食いの身に転落、という波乱の幕開けとなりました。
テイラー、今シーズンもいい味出してくれました☆ やっぱあの衣装最高! 南洋の小鳥のようにカラフルでラブリーだ(笑)。テイラーに限らず、重大犯罪課のファッションはチーフのブレンダはじめ、リアリティよりエンタメを意識したラインナップなのでとても警官とは思えないひとが多いですけれども。ガブリエルはモデルさんみたいだし、フリンのパステルトーンもかわいい☆ フリンって、お酒飲めないからオシャレに凝るのかな。私生活ではあれでなかなかモテモテなんじゃないかな。
今シーズンで印象的だったゲストキャラは、バズの妹とブレンダの弁護士さん。
バズの妹ケーシーは、シアトルの気象予報士。お天気お姉さんですね。演じるはクリスティン・ウッズ。白状すると、わたし未だにクリスティン・ウッズとロビン・タニーの見分けがつきません。や、たぶん二人並べたら間違わないと思うのだけど、どうも頭の中でごっちゃになっちゃう。えっとね、『プリズン・ブレイク』でリンカーンのために戦ってくれた弁護士さんがロビンで、『ハウス』のペイシェント・ゼロがクリスティン、『フラッシュフォワード』の連邦捜査官もクリスティンで、『メンタリスト』でサイモン・ベイカーに悩まされているのはロビンよ。おさらいしないとこんがらがるのよ。
重大犯罪課はガブリエルがイケメン代表なので霞んでしまいがちですが、よく見るとバズだって実は結構ハンサムさん。妹がSHB(スモーキンホットベイブ)のクリスティン・ウッズだって何の不思議もないのです。で、重大犯罪課の面々、サンチェスはもちろんのこと、本部長に(仮)就任したポープまでもが綺麗なお天気お姉さんにデレデレです。仕事そっちのけで鼻の下のばしてます。エピソードもサンタがらみの割とリラックスしたものだったので、箸休めみたいな回でした。
というのも、さすがファイナルシーズンともなれば緊張感は高く、そういうホッコリ系のエピソードが不可欠だったのです。それを象徴するキャラがブレンダの弁護士ギャビン。演じるはマーク・ペルグリノ。どっかで見たことのあるひとだなぁと気になってフィルモグラフィを調べてみれば、それもそのはず、わたしが見たことのあるテレビシリーズに限っても10タイトル以上がヒットしました。っていうことは、わたしが見た海外ドラマのほとんど全部に出ていたと言っても過言ではないということね。色んな番組からひっぱりだこの役者さんなんだね。存在感があると同時に器用なひとでもあるんだろうね。
で、なぜブレンダに弁護士さんが必要だったのか、という話になるのですが。
実はブレンダ、過去の事件捜査の手口を巡って訴訟を起こされてしまうのです。治安の悪い地区にあるコンビニが地元のギャングに襲われ、店主と幼い孫が殺されたニュートン事件。ブレンダは犯人のタレル・ベイラーを逮捕したものの、検察との取引のために裁判に持ち込み有罪にすることができなかった。そこでタレルを本人の希望のままに自宅に送って行ったのですが、その直後、タレルの裏切りに激怒した(コンビニ店主は地元では人望の篤い人物だった)ギャング仲間から撲殺されてしまった。このタレルの遺族がブレンダ及び市警察当局を、タレルの身に危険があることを知りながらその保護を怠ったとして告訴したのです。
その際、タレルを送る車に同乗していたのはブレンダ、サンチェス、ガブリエルの三人でした。危険とわかっている通りでタレルを下ろすことについて、サンチェスはギャングの潰しあいなんぞ自業自得、因果応報、自己責任の極致! とびくともしませんでしたが、まだ経験が浅く、エリート教育を受けた(ということは人権意識の高い)ガブリエルは、ブレンダのやりように不安を感じてしまう。そのことが訴訟の流れ全体に影を落とすことになるのです。
我々視聴者も、あのときのブレンダのやりようをリアルタイムで見ていたわけですが、果たしてそのとき何を感じていただろう? 殺人犯が相応の制裁を受けることに対して単純に溜飲を下げただろうか? ガブリエルのように不安を感じただろうか?
ファイナルシーズンは通常通り一話完結のドラマが描かれるのと並行して、このタレルの問題(及びそこから派生するブレンダの仕事全般に関する訴訟問題)が描かれていきます。つまり、「ブレンダ方式」の是非を問う流れになっているのです。
犯人に何らかの制裁が与えられるというのは、犯罪捜査ドラマでは必要なことですし、ブレンダのゴーイングマイウェイキャラだってそうした流れの上で造形されていたはずです。ブレンダの武器は尋問。尋問で自白を引き出すためなら容疑者を罠にはめたり嘘をついたりはお手の物。上司のポープだろうが検察だろうがFBIだろうが利用できるものは全部利用するのがブレンダのやり方。番組的にはそれでオッケーだったはず。だってそれがブレンダなんだから。
だからブレンダ自身、最初に告訴された時点では、「自分は何も悪いことはしていない」と頑なな態度をとるのですが、内部捜査官としての立場から事の推移にかかわることになったレイダーに諭され、自分のしてしまったことについて初めて本気で疑問を持つことになります。犯罪を憎むと言いながらその実、自分は恐ろしいことをしでかしてしまったのではないか?
そんなブレンダとは対照的に、サンチェスはあくまでぶれない。タレルをあそこで下したのがまずかったというのなら、かれを保護し、増長させ、再び犯罪を犯させるべきだったのか? 新たな被害者を作るべきだったのか? そうしたら今度は被害者の遺族に訴訟を起こされることになっていたかもしれないのに? チーフ、われわれは何も間違ったことなんかしちゃいません。犯罪者を捕まえるのが我々の仕事。犯罪の撲滅が我々の目標。そのために我々は日々必死に働いている。何も引け目を感じることなんかありません。
サンチェスの主張は、(実弟をギャングに殺されたことがある)サンチェスの来歴を思えば当然のことで、ぶれないサンチェスは頼もしい。事実ブレンダだって、些末なことにとらわれず、ある意味奔放な捜査を行ってきたからこそ、今まで「クローザー」として数々の難事件を鮮やかに解決してきたわけで、あれだけの仕事はブレンダでなければできなかったし、ブレンダのやり方でなければできなかった。
だけど、ここで本当に問われていたのは、モラリティとかプロトコルとかきちんと手続きを踏むとか公私混同しないとか、そうした狭義の意味でのケジメではなく、ブレンダの「傲慢さ」だったんじゃないか。いつしかブレンダは、己がクローザーであることに胡坐をかいてしまっていたのではないか。
今シーズンもまた、ブレンダのために耐えがたきを耐え忍びがたきを忍んで東奔西走するフリッツの姿は感動的だったのですが、そうしたフリッツの姿を見ると、もしかしたらこの関係って、いつかは壊れてしまうんじゃないかという不安を感じさせられてしまったのです。いつかフリッツが臨界点を超えてしまったとき、ブレンダはフリッツに去られてしまうんじゃないだろうか。
というのも、相変わらずブレンダとフリッツの関係がイーブンには思えなかったからです。今まではブレンダに惚れてるゆえのフリッツの自己犠牲って、場をなごませる笑いの要因として見てこれたけど、問題がブレンダの傲慢さであるのなら、そうも言ってはいられない。果たしてどれほどブレンダはフリッツを気遣っているだろうか、フリッツを見ているだろうか、フリッツの声を聴いているだろうか? 惚れた弱みにつけこんで、フリッツを利用することばかりが巧みで、フリッツに譲歩や我慢を強いてばかりいたんじゃないか?
わたしは重要な仕事をしているんだ、という傲慢な深層心理が、ブレンダの目を閉ざし、耳を閉ざし、事件以外の周りの人間に対するあってしかるべき気遣いをなくしてしまっていたんじゃないか。そんな態度が事件処理の仕方にも表れてしまっていたんじゃないか。他人をないがしろにしてはばからないブレンダの姿勢が、結局は母親の死を見過ごすという最悪の結果を招いてしまったんじゃないか。母親は何度も自分の体調について告げようとしていたのに、ブレンダは聞く耳持っちゃいなかった。だって「それどころじゃなかった」のだから。
そして確かにその時々で、ブレンダは抜き差しならない重要な仕事をしていたわけで、彼女の真摯な仕事ぶりをみてきた視聴者としては、ブレンダが母親や夫やその時々の仕事でかかわっている人々やそのほか周りいる人たちの話に耳を傾けなかったとしても、仕方がなかったんじゃないかと思えます。そのことでブレンダばかりを責めるのはあまりにフェアじゃない気がする。
だけどやっぱり、それでもやっぱり、ブレンダのしてきたことは、傲慢の誹りを免れないんじゃあるまいか。
今回の訴訟はいわばブレンダがしてきた仕事に対する全否定であるわけですから、ブレンダが苛立ち怒りポープに裏切られたと思いレイダーを疎ましく思う気持ちはわかる。だけど実際は、ポープがブレンダに厳しい態度をとったのは、正式に本部長に就任してしまえば、もはや身近でブレンダを守ることができなくなってしまうので、それまでになんとかしなければという親心から出たものであったし、レイダーにいたっては、ブレンダの心情を慮って内心激しく苦慮しつつもプロとして己の仕事を全うしただけだったわけです。そんなふたりにあんな態度をとるのはお門違いも甚だしい。
そしてまた、今回の経験を通じてブレンダが本当に自らのやり方を顧みて、本気で変わろうとしたのなら納得もいきますが、結局は容疑者を罠にはめるような際どい捜査のやりかたを変えようとしなかったし、自分のために私的にポープたちが協力することを当然とするダブスタや、個人的感情に任せて怒ったり泣いたりする態度もまた相変わらずだったのです。
そして結局、(形式はどうあれ実質的には)クビに近い形で重大犯罪課を去ることになってしまった。これで辞任後、たとえば警察学校で人権講座をもつとかいう立場になって、周りに目配りする時間や余裕を持つことになったのならまだしも、検事局の管理職という(恐らく多忙で重責のある)仕事を選んだのではたぶん、何も変わらない。ブレンダは生まれ変わるチャンスを逸したようにも思える。
型破りなやり方で見事に事件を解決する爽快さが身上だったはずの番組で、ヒロインを全否定する結果になってしまったなんて、とても残念な気がします。後続のスピンオフでブレンダの地位についたレイダー警部は、ブレンダとは真逆のやり方で仕事を進めるはずですから、その点でもまたブレンダの否定に繋がるように思えるし。そして果たしてレイダーのやり方で、面白い番組が作れるのかしら、という不安もあるよね。尤もレイダー警部のメイジャークライム、なかなか好評のようですが。
by shirakian
| 2014-06-28 21:54
| 海外ドラマ