2012年 01月 16日
華麗なる賭け
|
★ネタバレ注意★
午前十時の映画祭の一本です。
1968年、ノーマン・ジュイソン監督。
スティーヴ・マックィーン&フェイ・ダナウェイ&ポール・バーク出演。
1999年、ジョン・マクティアナン監督、ピアース・ブロスナン&レネ・ルッソ&デニス・リアリーの『トーマス・クラウン・アフェアー』はリアルタイムで観てますが、そのオリジナルがこちら。原題はどちらも同じ " THE THOMAS CROWN AFFAIR”です。
人生に退屈しきった大富豪が、退屈しのぎのためだけに犯罪に手を染める、という設定は同じながら、ブロスナンのトーマス・クラウンが美術品泥棒だったのに対して、マックィーンのトーマス・クラウンのターゲットは銀行。美術品ならまだしも、「金ならありあまっている」富豪が金を盗むとなると、ほんとに全く純粋に、犯罪のスリルだけを求めたゲームということになります。
この犯罪傾向の違いは、そのまんまふたりの俳優の違いでもある印象。ブロスナンには、気障でスタイリッシュな反面、可愛げというか愛嬌というかいい意味での軽味があるのに対して、マックィーンはぐっとワイルドで男っぽい印象。冒頭の、互いに顔も知らない実行部隊を自在に操って犯罪の糸を引く描写なんて、ほんとに硬派でカッコイイであります。その分、「暇をもてあました大金持ち」といった部分では、ややブロスナンに敵わないかも。
そしてまた、フェイ・ダナウェイのファッションがかわいいこと☆ ミニスカートからスラリとのびるおみ足には惚れ惚れします。スーツもドレスもカジュアルも、60年代の「かわいい」をぎゅっと詰め込んだよう。まさにバービー人形。現代の目で観てもほんとにお洒落☆
ただ、映画そのものがお洒落だったかというと、公開当時はともかく、現代視点では、「頑張ってるなぁ」という、お洒落的には最もアイタタタな雰囲気をかもしだしているなぁと思いました。多用される分割画面の使い方も今となってはかなりダサイし、トーマス・クラウンの「いけてる遊び人」振りの描写、サンドバギーとかグライダーとかゴルフとかポロとかも、やっぱり全部「頑張ってるなぁ」という印象です。
マックィーンとダナウェイのラブアフェアの描写についても、垢抜けているとは言い難い。特に観ていて辛いのが、たぶん一番の山場的シーンとして描写されたであろうチェスのシーン。チェスの対局を通してダナウェイがマックィーンを誘惑し、クールな顔したマックィーンが陥落する、という「セクシー」なはずのシーンなんだけど、なんかどうにも官能は感じ難かったです。やっぱセンスがダサイ。あそこはさ、ダナウェイが立ったまま、盤上のチェスの駒をひとつだけポンと動かしてみせる、というシーンでよかったはずなのにね。なんだろ、あの、やたら唇をアップにしたり、これみよがしに身体中をなでまわしたり。テレビのコントの誘惑シーンのようでありました。
そもそも、嘘か本気かわからないような大人の駆け引き、が見所のはずなのに、マックィーンにほかの女の影があると、ダナウェイが「わたしのほかにいいひとがいるのね」とか本気で落ち込んだりするのも、ベタベタと重くてダサイ。こういう関係はルパンと不二子の関係が白眉ですね。ダナウェイは不二子にはなれなかった模様。マックィーンはひょろりんとした体型的には十分ルパンだったんだけどねぇ。
マクティアナン版の担当刑事を演じたデニス・リアリーは、調査員のレネ・ルッソにちょっぴり恋心を抱いてしまうのが、なかなかかわいらしかったんだけど、こちらのエディ・マローン警部補ことポール・バークの、ダナウェイなんかまるで眼中にないっぷりは潔くて面白かったです。その割には、それほど敏腕捜査官というわけでもなく、そもそもの決めてがダナウェイの直感以外に何にもない、というのも犯罪ドラマばっかり観ている自分には、あらあらまあまあ、という感じ(笑)。とにもかくにも60年代だったのね。
あと、ダナウェイは別の役でリメイクの方にも出ているのですが、そういうファンサービスは楽しいですね。
午前十時の映画祭の一本です。
1968年、ノーマン・ジュイソン監督。
スティーヴ・マックィーン&フェイ・ダナウェイ&ポール・バーク出演。
1999年、ジョン・マクティアナン監督、ピアース・ブロスナン&レネ・ルッソ&デニス・リアリーの『トーマス・クラウン・アフェアー』はリアルタイムで観てますが、そのオリジナルがこちら。原題はどちらも同じ " THE THOMAS CROWN AFFAIR”です。
人生に退屈しきった大富豪が、退屈しのぎのためだけに犯罪に手を染める、という設定は同じながら、ブロスナンのトーマス・クラウンが美術品泥棒だったのに対して、マックィーンのトーマス・クラウンのターゲットは銀行。美術品ならまだしも、「金ならありあまっている」富豪が金を盗むとなると、ほんとに全く純粋に、犯罪のスリルだけを求めたゲームということになります。
この犯罪傾向の違いは、そのまんまふたりの俳優の違いでもある印象。ブロスナンには、気障でスタイリッシュな反面、可愛げというか愛嬌というかいい意味での軽味があるのに対して、マックィーンはぐっとワイルドで男っぽい印象。冒頭の、互いに顔も知らない実行部隊を自在に操って犯罪の糸を引く描写なんて、ほんとに硬派でカッコイイであります。その分、「暇をもてあました大金持ち」といった部分では、ややブロスナンに敵わないかも。
そしてまた、フェイ・ダナウェイのファッションがかわいいこと☆ ミニスカートからスラリとのびるおみ足には惚れ惚れします。スーツもドレスもカジュアルも、60年代の「かわいい」をぎゅっと詰め込んだよう。まさにバービー人形。現代の目で観てもほんとにお洒落☆
ただ、映画そのものがお洒落だったかというと、公開当時はともかく、現代視点では、「頑張ってるなぁ」という、お洒落的には最もアイタタタな雰囲気をかもしだしているなぁと思いました。多用される分割画面の使い方も今となってはかなりダサイし、トーマス・クラウンの「いけてる遊び人」振りの描写、サンドバギーとかグライダーとかゴルフとかポロとかも、やっぱり全部「頑張ってるなぁ」という印象です。
マックィーンとダナウェイのラブアフェアの描写についても、垢抜けているとは言い難い。特に観ていて辛いのが、たぶん一番の山場的シーンとして描写されたであろうチェスのシーン。チェスの対局を通してダナウェイがマックィーンを誘惑し、クールな顔したマックィーンが陥落する、という「セクシー」なはずのシーンなんだけど、なんかどうにも官能は感じ難かったです。やっぱセンスがダサイ。あそこはさ、ダナウェイが立ったまま、盤上のチェスの駒をひとつだけポンと動かしてみせる、というシーンでよかったはずなのにね。なんだろ、あの、やたら唇をアップにしたり、これみよがしに身体中をなでまわしたり。テレビのコントの誘惑シーンのようでありました。
そもそも、嘘か本気かわからないような大人の駆け引き、が見所のはずなのに、マックィーンにほかの女の影があると、ダナウェイが「わたしのほかにいいひとがいるのね」とか本気で落ち込んだりするのも、ベタベタと重くてダサイ。こういう関係はルパンと不二子の関係が白眉ですね。ダナウェイは不二子にはなれなかった模様。マックィーンはひょろりんとした体型的には十分ルパンだったんだけどねぇ。
マクティアナン版の担当刑事を演じたデニス・リアリーは、調査員のレネ・ルッソにちょっぴり恋心を抱いてしまうのが、なかなかかわいらしかったんだけど、こちらのエディ・マローン警部補ことポール・バークの、ダナウェイなんかまるで眼中にないっぷりは潔くて面白かったです。その割には、それほど敏腕捜査官というわけでもなく、そもそもの決めてがダナウェイの直感以外に何にもない、というのも犯罪ドラマばっかり観ている自分には、あらあらまあまあ、という感じ(笑)。とにもかくにも60年代だったのね。
あと、ダナウェイは別の役でリメイクの方にも出ているのですが、そういうファンサービスは楽しいですね。
by shirakian
| 2012-01-16 18:40
| 映画か行