2010年 11月 04日
ドリヴン
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★ネタバレ注意★
2001年、レニー・ハーリン監督作品。
ロバート・ショーン・レナード出演作です。
BGMが煩いです(汗)。
新人レーサーのジミー・ブライ(キップ・パルデュー)は、将来を嘱望されつつも、いまひとつトップレーサーのボー・ブランデンバーグ(ティル・シュヴァイガー)に迫れない、甘さのぬけないお子ちゃまドライバー。兄でありマネージャーであるデミル・ブライ(ロバート・ショーン・レナード)の過剰な期待と干渉と過保護に、少々お疲れの日々。
チーム・オーナーのカール・ヘンリー(バート・レイノルズ)は、梃入れのため、チームのブロッキング・ドライバーを務めていたメモ・モレノ(クリスチャン・デ・ラ・フエンテ)の代わりに、大事故を起こして引退していた往年の名ドライバー、ジョー・タント(シルヴェスター・スタローン)を呼び出す。いよいよ現役復帰かと意気込んでレース場に戻ったジョーに、カールが告げた役割は、あくまで新人ジミーの補佐というポジションだった。
というのが大筋で、なんか、まあ、いろいろある中で、スタローンのマッチョな人生訓が功を奏したりして、甘ちゃんだったジミーがついにブランデンバーグを抜いて、ワールドチャンピオンになるという、よく言えば王道的ストーリーです。
この話、キャラクターを出しすぎちゃったんじゃないかな、という気がします。
主役のジミーを中心に、ジミー対ブランデンバーグ(トップの座をめぐって追う者と追われる者のライバル対決)、ジミー対メモ(華やかな舞台が用意されたスター選手と黒子に徹することが求められる助っ人選手の光と闇)、ジミー対デミル(情愛とビジネス的成功をめぐって空回りする家族の絆)、という三つの人間関係に集約すべきだったのに、どうも、それ以外の余計な要素が多すぎる。
余計な要素というのは、なんと驚くべきことに、スタローンの存在そのものです(汗)。や、もちろん、お金を集めるにも話題作りをするにも、スタローンの名前が不可欠だったことは想像に難くないのですが、それにしても、いらなかったなぁ、スタローン(汗)。
後進に花をもたせた、とか言うてはったらしいですが、いやいやどっこい、「おれの見せ場」を確保するのは忘れません。しかしこの映画は、パルデューが主役なのだからして、スタローンの見せ場はいらないのであった。
スタローン(と、かれを引き立たせるために配された女性キャラたち)のシーンがいらないのと同じくらい、邪魔な存在に感じられたのが、シュヴァイガーの恋人を演じたエステラ・ウォーレンです。
この女優さんは、みごとラジー賞ワースト助演女優賞を受賞した、大変残念な演技を披露してくださいました。どうもありがとうございました。演技もひどいのだけど、設定もね、ブランデンバーグの恋人だったのに、ブランデンバーグとうまくいかなくなったら、ジミーに乗り換え、ジミーに飽きたらブランデンバーグに戻る、という形で、ライバルふたりの間にはさまってるんですけど、たぶん、ブランデンバーグとジミーのライバル関係を描くのだったら、間に女なんかはさまずに、純粋にレーサーとしての対立を描いた方が、ずっといいドラマにできたと思います。
デミルは概ね、このようなファッションで登場。サングラスをかけてるシーンも多いです。スーツとシャツとネクタイが三点とも濃い色味の服装は、ちょっとワルっぽく見えますね。
物語的にも、デミルが「自分の」成功のためにジミーを見限ってブランデンバーグにつこうとするような展開があるのですが、ラストシーンの大味な大団円を見ると、デミルの行為は自分のためというより、ジミーを発奮させるために敢て泥を被ったのではないかな、と思わせるような匙加減でもあり、ほんとのことろはどっちよ? と思わんでもないです。デミルがいままで、自分のことは二の次にして純粋に弟のために心を砕いてきたことを思うと、かれがジミーを裏切る展開はどう考えても唐突すぎる、と思うのですが。
デミルは、エステラ・“ラジー賞”・ウォーレンが接近してきたときに、この女がジミーを棄てることなどお見通しだったので、ウォーレンに対して非常に邪険な態度をとるのですが、アタシはあんたの弟が好きなのよ(I like your brother)! と居直るウォーレンに対して“I liked him first.”(かれを好きになったのはおれの方が先だ)と返したりするのです。だよね、ジミーが8歳のときのカートレースで自分の倍の年齢のライバルたちを蹴散らして走るのを見て、こいつの才能を花開かせてやろう、と決心したお兄ちゃんなんだもの(>_<)。
デミルの口煩さや、ガードの固さの背後には、ちゃんと愛情があることが、レナードの演技を見てればわかります。いつまでも甘えのぬけないジミーに対し、おれはほんとうならもっと大きなことができる人間なのに、車好きのおまえの夢をかなえてやるために、ひとりじゃ飛行機のチケットも買えないおまえの世話をして、10年もの歳月を棒に振ってしまったと、デミルが感情を爆発させるシーンはやはり圧巻。
それなのに、せっかくのレナードの好演にもかかわらず、演出が悪いのか(悪いですが)、脚本が悪いのか(悪いですが)、キップ・パルデューがお大根さんなのか(ほかの作品を知りませんので断言はしませんが)、パルデューとレナードの間になければならない兄弟のケミストリーみたいなものが、残念なことにあんまり感じられません。
デミルの存在をプレッシャーに感じたジミーが、デミルを無視するような態度に出て、そのことに傷ついたデミルが(上記の)ジミーを見限る行動に出る、という流れがあるのだけど、ジミーの態度がね、なんかこう、そういう兄弟間の複雑な機微なんかおかまいなく、ほんとに単にデミルを無視してるようにしか見えなかったり。
尤も、悪いばかりの映画でもなくて、いかにも派手派手しいクラッシュシーンの迫力なんかは楽しいです。なにしろ、時速300キロ超でのクラッシュですよ。300キロって、音速超えてる?(超えてません)。
あと、プッツンしたジミーが、新車発表会の試乗車をかっぱらって街を乗り回すシーンも楽しかったし、世界各地を転戦する話なので、色々なロケーションがあるのだけど、ほかの国だと、比較的レースに集中していたのに、日本のシーンだけ、レースよりも日本の風俗を描くことに熱心だったのもおかしかったです。珍しかったのかなぁ、ヤキソバ。
2001年、レニー・ハーリン監督作品。
ロバート・ショーン・レナード出演作です。
BGMが煩いです(汗)。
新人レーサーのジミー・ブライ(キップ・パルデュー)は、将来を嘱望されつつも、いまひとつトップレーサーのボー・ブランデンバーグ(ティル・シュヴァイガー)に迫れない、甘さのぬけないお子ちゃまドライバー。兄でありマネージャーであるデミル・ブライ(ロバート・ショーン・レナード)の過剰な期待と干渉と過保護に、少々お疲れの日々。
チーム・オーナーのカール・ヘンリー(バート・レイノルズ)は、梃入れのため、チームのブロッキング・ドライバーを務めていたメモ・モレノ(クリスチャン・デ・ラ・フエンテ)の代わりに、大事故を起こして引退していた往年の名ドライバー、ジョー・タント(シルヴェスター・スタローン)を呼び出す。いよいよ現役復帰かと意気込んでレース場に戻ったジョーに、カールが告げた役割は、あくまで新人ジミーの補佐というポジションだった。
というのが大筋で、なんか、まあ、いろいろある中で、スタローンのマッチョな人生訓が功を奏したりして、甘ちゃんだったジミーがついにブランデンバーグを抜いて、ワールドチャンピオンになるという、よく言えば王道的ストーリーです。
この話、キャラクターを出しすぎちゃったんじゃないかな、という気がします。
主役のジミーを中心に、ジミー対ブランデンバーグ(トップの座をめぐって追う者と追われる者のライバル対決)、ジミー対メモ(華やかな舞台が用意されたスター選手と黒子に徹することが求められる助っ人選手の光と闇)、ジミー対デミル(情愛とビジネス的成功をめぐって空回りする家族の絆)、という三つの人間関係に集約すべきだったのに、どうも、それ以外の余計な要素が多すぎる。
余計な要素というのは、なんと驚くべきことに、スタローンの存在そのものです(汗)。や、もちろん、お金を集めるにも話題作りをするにも、スタローンの名前が不可欠だったことは想像に難くないのですが、それにしても、いらなかったなぁ、スタローン(汗)。
後進に花をもたせた、とか言うてはったらしいですが、いやいやどっこい、「おれの見せ場」を確保するのは忘れません。しかしこの映画は、パルデューが主役なのだからして、スタローンの見せ場はいらないのであった。
スタローン(と、かれを引き立たせるために配された女性キャラたち)のシーンがいらないのと同じくらい、邪魔な存在に感じられたのが、シュヴァイガーの恋人を演じたエステラ・ウォーレンです。
この女優さんは、みごとラジー賞ワースト助演女優賞を受賞した、大変残念な演技を披露してくださいました。どうもありがとうございました。演技もひどいのだけど、設定もね、ブランデンバーグの恋人だったのに、ブランデンバーグとうまくいかなくなったら、ジミーに乗り換え、ジミーに飽きたらブランデンバーグに戻る、という形で、ライバルふたりの間にはさまってるんですけど、たぶん、ブランデンバーグとジミーのライバル関係を描くのだったら、間に女なんかはさまずに、純粋にレーサーとしての対立を描いた方が、ずっといいドラマにできたと思います。
デミルは概ね、このようなファッションで登場。サングラスをかけてるシーンも多いです。スーツとシャツとネクタイが三点とも濃い色味の服装は、ちょっとワルっぽく見えますね。
物語的にも、デミルが「自分の」成功のためにジミーを見限ってブランデンバーグにつこうとするような展開があるのですが、ラストシーンの大味な大団円を見ると、デミルの行為は自分のためというより、ジミーを発奮させるために敢て泥を被ったのではないかな、と思わせるような匙加減でもあり、ほんとのことろはどっちよ? と思わんでもないです。デミルがいままで、自分のことは二の次にして純粋に弟のために心を砕いてきたことを思うと、かれがジミーを裏切る展開はどう考えても唐突すぎる、と思うのですが。
デミルは、エステラ・“ラジー賞”・ウォーレンが接近してきたときに、この女がジミーを棄てることなどお見通しだったので、ウォーレンに対して非常に邪険な態度をとるのですが、アタシはあんたの弟が好きなのよ(I like your brother)! と居直るウォーレンに対して“I liked him first.”(かれを好きになったのはおれの方が先だ)と返したりするのです。だよね、ジミーが8歳のときのカートレースで自分の倍の年齢のライバルたちを蹴散らして走るのを見て、こいつの才能を花開かせてやろう、と決心したお兄ちゃんなんだもの(>_<)。
デミルの口煩さや、ガードの固さの背後には、ちゃんと愛情があることが、レナードの演技を見てればわかります。いつまでも甘えのぬけないジミーに対し、おれはほんとうならもっと大きなことができる人間なのに、車好きのおまえの夢をかなえてやるために、ひとりじゃ飛行機のチケットも買えないおまえの世話をして、10年もの歳月を棒に振ってしまったと、デミルが感情を爆発させるシーンはやはり圧巻。
それなのに、せっかくのレナードの好演にもかかわらず、演出が悪いのか(悪いですが)、脚本が悪いのか(悪いですが)、キップ・パルデューがお大根さんなのか(ほかの作品を知りませんので断言はしませんが)、パルデューとレナードの間になければならない兄弟のケミストリーみたいなものが、残念なことにあんまり感じられません。
デミルの存在をプレッシャーに感じたジミーが、デミルを無視するような態度に出て、そのことに傷ついたデミルが(上記の)ジミーを見限る行動に出る、という流れがあるのだけど、ジミーの態度がね、なんかこう、そういう兄弟間の複雑な機微なんかおかまいなく、ほんとに単にデミルを無視してるようにしか見えなかったり。
尤も、悪いばかりの映画でもなくて、いかにも派手派手しいクラッシュシーンの迫力なんかは楽しいです。なにしろ、時速300キロ超でのクラッシュですよ。300キロって、音速超えてる?(超えてません)。
あと、プッツンしたジミーが、新車発表会の試乗車をかっぱらって街を乗り回すシーンも楽しかったし、世界各地を転戦する話なので、色々なロケーションがあるのだけど、ほかの国だと、比較的レースに集中していたのに、日本のシーンだけ、レースよりも日本の風俗を描くことに熱心だったのもおかしかったです。珍しかったのかなぁ、ヤキソバ。
by shirakian
| 2010-11-04 19:24
| 映画た行