2010年 05月 16日
ロード・オブ・ドッグタウン
|
久しぶりにCSI:NYを観たら、ドン・フラック刑事の中の人ことエディ・ケイヒル氏の過去作が観たくなりました。『フレンズ』でジェニファー・アニストンのツバメを演ってたのは観たことあるけど、ほかにもなにか、と探してみましたところ、この作品がヒットしました。
お? この映画、青春映画の傑作、という評判を聞いていたので(どこで?)前から観たいなと思ってた映画でした。ちょうどよかった。
2005年のキャサリン・ハードウィック監督作品。
この映画は昔の映画だ、という認識があったのと、例によって役者さんの正確な年齢をまるで把握していなかったので、ケイヒルさんは、主演のひとり、エミール・ハーシュのライバルの少年役かな、とか、や、もしかしたら、その弟分とかで、14歳ぐらいのケイヒルさんが出てきたらどうしましょ、とか、色々間違い過ぎてて、もはやどうしょうもないことを思っていたのですが、一体だれに謝ったらいいのやら。
(ええと、念の為、エミール・ハーシュはエディ・ケイヒルより7つ年下ですので、ライバルはともかく、兄貴分というのはナイです。しかも5年しか前の映画じゃないので、ケイヒルが14歳ってこともナイです。今32歳ぐらい。ほんと、一体だれに謝ったらいいのやら)。
そう言えばタイトルのことも、"Road of Dogtown"だと思いこんでいました。なんか、リードをつけたわんこがいっぱいお散歩してそうな道路です。カタカナでロードって書かれたら、lordかroadかわかんないよね。『指輪物語』でいいぢゃんね。(それと、も一個うるさいこと言えば、このタイトルのlordsは、複数形が大事だよね。三人の覇者の物語だもの。でも、カタカナでローズ・オブ・ドッグタウンって書かれたら、今度はドッグタウンに咲くバラの話? って思っちゃうよね)。
70年代、カリフォルニア・ヴェニスビーチ、通称ドッグタウン。この街に暮らす、ステイシー(ジョン・ロビンソン)、ジェイ(エミール・ハーシュ)、トニー(ヴィクター・ラサック)は、毎日が夏休みのような青春の日々、ストリートでスケートボードに明け暮れていた。
そんな少年たちに目をつけたサーフショップ“ゼファー”の経営者スキップ(ヒース・レジャー)が、少年たちを束ねてスケボー・チーム“Z-BOYS”を結成したところ、そのすばらしいテクニックがマスコミの注目を集めるようになり、少年たちは一気にスターダムを駆け上っていったのだが……。
という実話をもとにしたお話で、全く同じ内容のドキュメントフィルムがまず作られ、それを基にして撮ったドラマであるそうです。脚本を描いたのは、当事者であるステイシー・ペラルタ本人。かれ及び、ジェイ・アダムズとトニー・アルヴァもカメオ出演しており、スケボーの実技指導も行った模様です。
とにかくこの映画、スケボーシーンの再現性が凄いです。なんでも、撮影の二ヶ月半前から若い主演俳優たちは特訓を開始し、全くの初心者からのスタートであったにもかかわらず、本番ではほとんどスタントを使わずプロスケーターの演技シーンを撮った由。ロビンソン、ハーシュ、ラサックの運動神経のよさは半端でないです。三人が競い合うようにして練習したことも、よい方向に働いたらしい。ライバルってすばらしい(笑)。
特に、三人の中で唯一人、大手資本の申し出を蹴り、ストリートスケーターに徹した真の海賊・ジェイを演じたハーシュの身体能力の凄さにはびっくりしました。今まで観てきた映画から、演技派というイメージがあったので、これほどまでに動けるひとだとは思ってなかったです。スケボーのシーンも凄いのですが、普段の動きがほんとに俊敏で、けものみたいに美しい。次のジェームズ・ボンドはハーシュに決まりだね(気が早すぎ)。
それにしても、観ていてヒリヒリするような凄い目をしてる。ほんとにいい役者さんだ。
あとはもちろん、ヒース・レジャー。少年たちの価値をいち早く見抜き、世に出してやったにもかかわらず、巨大な資本に対抗できず、かれらを失うしかなかったスキップ・イングロムという男。青春の日々は終わってしまったのに、どうにも大人になりきれない男を、いかがわしく粗暴に繊細にチャーミングに演じて、かれが出ているシーンは一瞬たりとも目が離せません。
少年たちは有名になる前、渇水で水をぬかれた個人所有のプールに忍び込んで、プールのバンクを利用してスケートを楽しんでいました。仲間のシドは、内耳に問題があるせいで平衡感覚が悪く(と思われていた)、どんなに頑張ってもうまく滑ることができないのだけれど、裕福な自宅には、スケートボードにうってつけのプールがあった。
ラストシーンは、このシドの家のプールに、大人の思惑でひっかきまわされ、バラバラになってしまった少年たちが再結集し、純粋に喜びとしてのスケートに興じるシーンなのですが、どんなにつっぱっても、凄い技量を持っていても、商品価値を持っていても、まだまだ少年であるかれらの、それぞれの自負や葛藤や不安や怒りが適切に伝わってくる演出が冴えていたおかげで、このシーンには思わず泣かされてしまいました。
みそっかすのシドを演じたマイケル・アンガラノって、『ドラゴン・キングダム』でジャッキー・チェンとジェット・リーのふたりから武術の手ほどきをしてもらうという、信じられないほどの幸運をさずかった子だよね。こんなに弱っちかった子が、立派になって(>_<)。
というわけで、いい映画で、楽しませてもらいましたが、エディ・ケイヒル的見所というのは、限りなくゼロに近かったです(汗)。役柄としては、少年たちをカネまみれの世界にひきずり込む大手スケートメーカーの人間で、口ひげ生やしてていかがわしいです。口ひげは、大抵のハンサムさんの男ぶりを下げるので、むしろ積極的にやめてくれると嬉しいです。
by shirakian
| 2010-05-16 21:04
| 映画ら行